批判する人間の教養理解によって、種々な差が生じるものです。一定不動のものではありません。しかも伝統のいけばな、現代のいけばなという二つの面からも、批判の焦点が変つて来るものです。ともあれ、私があなたの最も信頼する先生として、しかも、あなたの希望する通り、この作品を広場に出して、あらためて批判することにいたしましよう。その前に、それを定める「ものさし」について考えて見たいと思います。これの判定をするためには、いろいろな方法がありますが、一ばん便利な方法として次の様な四つの段階をつくつて、これと比較検討して見ようと思います。習う人達の中の俊れた技術者全国諸流派の中の優れた花適家（教授者を含めて数千名）③ 更にその中より選出する、代表的な優れた花道家約（二00名）④ 現代花道の最高水準の作家（これは全国で二0名程度）以上は、現在の日本の花道界の水準を、大きくわけて示して見ました。あなたは、研修の年限も浅く、優れた将来性があっても、現在においては、どうにか以上の、第1の。ハートに入る人です。それをよく理解して、そのつもりで批判を受けねばなりません。作品がいつも優れているとは限らないし、第2、第3の作家の中にも優れた作品の出ることが当然ある訳です。1の部に入る人だと考えますが、これさえも、あなた自身が責任を感じ、また、かえりみて、おもはゆい感じがするのではないでしようか。を門弟の中の優秀な人達の中に交えて、採点することにいたしましよう。して。近頃よく出来た作品です。そして、これを、ひろくして採点すると、次の様になります。①習う人達の俊れた作品程度に比較③全国的な花道家俊秀作品と比較す③代表的な俊秀作品に比較するとは、あくまで習つあなたに対しての正しい批判で、あなたの修養期間をさて、以上に書いた四つの格附は、それぞれの作家の実力を見合せて考える必要があり、必ずしも、名家の然し、あなたの場合は、まず、第それも押し切つて、あなたの作品今日のあなたの作品は、あなたと一般的に比較今日のあなたの作品は0点）ると（四0点）（二0点）こんなになつて来ます。ですから「よく出来てよろしい」という言葉すると。（七考え合せた場合は、優に九0点を与える価値は充分にあります。つまり、公平に一般的な基準にあわせると、こんなに落差が生れて来ます。話が変りますが、「能楽」の方では、この辺の区別を「しろうと」と「＜ろうと」の二つに載然と区別しています。しろうとはしろうととしての水準、くろうとはくろうとの中の水準と、はつきりわかれており、師匠も弟子も、それをよく理解して、それぞれの勉強をしている様であります。あなたには大変残念でありますが、まだまだ熱心に練習を積み重ねて技術の勉強と、花道への理解を深める様におすすめをいたします。しかし、はからずも、あなたの質問によって、この問題を考えることになり、花道のきびしさは大変なものだ、ということがお解りになったことと思いますし、これを契機としていよいよ勉強されんことを望む次第です。なお、これに関しては少し目標が異りますが、参考になる次の書物をお読みになる様におすすめします。白洲正子著「花と幽玄の世界」I世阿弥この2種を黒色の細長い水盤に活けた。10センチ程度の細い巾の陶器なので、なんとなく軽やかな感じで、コスモスの細い慇じと調和している。花は淡紅と白みがか（宝文館出版）った淡い紅色を交え、花形は花のコスモスえのころぐさ個性どおり、つとめて軽やかに形を作った。左右の前に低く、水盤のすそまで、曲った茎を入れ変化をつくった。野草の淡＜褐色に枯れたものを三つに束ねて、株分け挿しの様に、株を別にしてあしらった。晩秋の帖紹と、風に吹かれる様な軽やかさのある花である。3 —■ I I I ③ ①
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