テキスト1967
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①これは12月の瓶花である。水仙は初花らしい新鮮さをたたえているし、寒菊も緑の葉が美しく、紅葉を交えている。風雅なとりあわせである。盛花にもよい材料だが、瓶花にはことに上品に見られる配合である。水仙は自然のまま、形をくずさずそのまま、株もとに竹片をさして留めた。二つとも単調な形の材料なので、花葉の配置と、ことに空間をよく考えて、すきまの形によって変化を作ることを考えた。真の部の水仙、胴ヘ垂れた寒菊、中問と留へ長く出した寒菊、変化のある花型が作れた。若松4本、濃紅のバラ1本、淡紅のバラ2本を取合せて、花器はなんばん焼メの鉢。たっぷりとした花器にのびやかな感じで活けた迎春の盛花である。光沢の美しい緑の若松にバラの新鮮な感じは、股祝の花としてふさわしい趣きがある。老松にバラもよい調和だが、若松の様な新鮮さがないと思っ。花器に剣山を入れて、バラのしつかりしたものを選んで、のびのびと入れた°若松よりもバラを高く立体に入れたところが、この盛花のよさといえるだろう。松の直線に対してバラの花葉の曲線も対照がよ③カリンについた黄緑の大きい実、これを立体に括して、ばらんの葉の白と緑の染めわけたもの4枚。副材に添えた°扁平な褐色の壷。たっぷりとした花器に、ゆったりと入れた変化のある材料°渋い好みだが花ものを入れないところに作意がある。木の実とばらんの色、花の色との配合は、花がなくとも美しい色調を作っているといえる。時としてこの様に単純直裁といつた感じの作品も好ましいものである。しかも渋い材料でありながら、新鮮な味わいを感じることの出来る瓶花ではないだろうか。④グラジオラスはビンク、キンコウバイは小さい葉の群つてつく園芸かんほくである。香りのよい木で白い小さい花がつく。その葉の群りの中から、直線の細い寒竹の竹の子を2本添えてある。色と形をよく計鍔した材料配合といえる。細い寒竹によって、この盛花にびんとした変化のある花型を作ることが出来た。薄ずみ色の舟型の花器の中央に花を挿して、左右をすかせたが、この様な形の花器はまん中に株を据えるのがよく、一方へ寄せると安定がよくない。グラジオラスの葉を使うと、感じが悪くなる。③寒菊⑤椿と百合の瓶花である。ッバキは妙蓮寺という名の、単弁淡紅色の大きい花である。椿を左右へ長く枝をのばして調子をつくる。対照型の花型である。右方は重く、左方は少し軽くして、その中に枝葉の空間をつくり変化の形をつけた。テツボウユリの開花と中開のもの2本を選んで、花型の中央に前へ傾けて括し、特に、ツバキの葉と混雑しない様に注意しつつ長くさし出した。ッバキは平凡な枝ぶりのものが多いから、その中から特に材料を選択して、葉の重なり、花葉のすきまを考えて、形よくまとめる。若松2 4 し‘,0 スイセンノゞ―フ

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