テキスト1967
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Rカキツバタの葉、スイレン2種の盛合である。花器は高足の盛花器、黄褐色の陶器である。この花器は形もよく色もよく、どの材料でもよく調和するので、度々と使う。自分の好きな花器はいつでも使いたくなるし、また活けやすい。いつ活けても活けやすい花器、そんな花器を持ちたいものである。さて、かきつばた、花菖蒲は春の材料で、今は葉も乱れやつれているのだが、俣れる様に生え残った葉の中に風雅な味わいがある。自然に生えている様に、倒れ葉をのどかに括して、すいれんを副材にあしらった。花器にたっぷとり水を入れて、丸葉を浮かせ(3枚)白花の聞花、中開を前後に挿した。花茎は水面より四、五センチ程度に短か<括して、自然の味わいを見せる。すいれんを活けるとき、ふといと取合せることが多いが、これはあまりにもおきまりのようで面白くない。雪柳の緑葉とすいれん、青楓とすいれん、或いはすいれん一種、アス。ハラカスにすいれん、紫蘭の葉とすいれんという様に、新しい配合で活けたいものである。カスミ草、ナルコユリ、などと取合せるのもよい。スイレンの巻葉は形が平凡だから使わない方がよい。A ⑧女郎花に山いばらの実。新種の女郎花なので花葉、茎ともにしつかりしている美しい材料である。このいばらの実(豆がら)は山野に野生の材料で、褐色に枯れている。名がはつきりしないので残念だが(材料を渡して調べさせたのだが、はつきりしない)、かなり大きい豆で群つて実がつき風雅である。花器は黒く青い長方形水盤で、こんな形の花器は斜に向けて活けると二面が見えて、形よく見られる。女郎花の葉と実を一しよにすると雑然として見苦しいので、株分けのB 形に、まん中に空間をつくった。こんな場合、足もとがすいて剣山が目立つので、黒い花器を使ったのだが、水を入れると殆んど花留が見えない。花形の堅くならないように、なるべく自然風に挿し、女郎花の小茎を左方へ出し、いばらの枝を右方へさし出して、相互に糾み合う様に重ねて(前と後方)に注意して活けた。黄、緑、褐色、黒の色調が美しい。この女郎花は下葉がたっぷりとして、珍らしくよい稲類である。、単調にならない様テキストの写真について釘号のいけばな写真は、いつもあわただしい中の作品なので巾訳ないと思っている。私と写貫家との都合のよい時間を定めて、その撮影時間前の一時間ほどの間に、車で花屋まわりをする。二、三軒ほど花屋へ廻つて適当な花を買い、帰るとすぐ活けはじめ、次々と撮影させる。今月は運悪くよい花がなく残念だった。次号にはよい作品を写したいと111心つている。とにかく、いつもゆつくりと活けた花でないのが残念だが、多忙な中で作る仕げなのでお赦しを願いたい。4 RR カキツバタの葉オミナェシスイレン山イバラの実

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