テキスト1967
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初夏の頃から初秋まで、暑い季節のいけばなには、緑の葉のたっぷりとした材料を活けたいものである。瓶花盛花の場合、みずみずしい緑の葉の中に、小量の色を加える様な配合はいかにも新鮮にみえ、季節感の深い花ができる。例えば青楓、紫ききよう、紅あざみはぜの緑葉、大輪白菊すすき、けいとう、しだの類などの様に、草木の緑の葉色の特に美しく、みずみずしいものをたっぷりと使って、あしらいの花の色も紫、白、紅、淡紅などを小量加える様な配合が好ましい。青楓にささゆりの瓶花は、取合せもよいし、色彩的にも清爽な感じで初夏の瓶花として好ましい花である。材料が変つても、夏の花はできるだけ緑葉の多い花が、新鮮に見えるものである。例えば、ツルモドキの緑の実に菊を根じめにつけたとする、これで普通の取合せとしてはよいのだが、これが10月に入って、この取合せの場合は実ものと菊で、中々調和のよい花だが、八月にこの取合せなれば、いま一種、緑葉を加えれば、一脳、花にうるおいが見えて好ましい。ツルモドキ、山木の緑葉、菊の取合せの方がよい。同じ材料でも季節によって必じ方が迩うわけで、夏はぜの紅葉も、初夏の煩は新鮮に見られるが、盛夏の頃は、紅葉の色が暑苦しく見え、むしろ緑葉のほうが感じよく見られる。従って夏の花には、緑葉を多く使って、花は小紐に、秋から冬にかけて段々と花色を増して行く考え方がよい。晩秋から冬季にかけては、新鮮な緑葉がない訳だから、葉色も深い浪緑のものが多く、一般的には葉に美しさの乏しい季節で、いけばなにも葉の特徴を活かす様な花は作りにくい。(観葉植物は別として)これをいいかえれば、初反から晩秋までは、葉色の美しい季節であり、いけばなには、それを活かす様な作品を活けるようする。花を押しならべるような作品は、夏秋には適当でないといえよう。季節の特徴をよくつかむことが大切である。c cヒマは紅色の茎に実がつき、八つ手によく似た葉がある。|部についた無駄な業と茎を切り去り、苓の卜部の切断面を見せると、而白い形なので、卜部で揃える様に形づくつて花器にとめた。実を少し残して、下部の花器にかぶさる様に大葉をつけた。茎の線の糾合せで調子の変化を見る様に配列に工夫をした。ルリアザミを中間、控、留に人れ、左方にも小凪さした。花のない茎と実の材料でつくり卜げた盛花である。こんな考え力も時として面白い。⑪ひまわりの実の大きいものジンソウという新種の花で、カンナに似た葉に白い花をつけている、珍らしい花である。ひまわりの実が喧たく強い感じなので、これに謡和する様な、大きくたっぷりとした花を添えた。少し単純な感じだが、盛夏の花としては、こんなさつばりとした花も好ましいものである。花器は褐色の扁平な形の扁壷の形の器である。新しい種類の花で、来年はもつと一般化されるに迩いない。を1本、あしらいの花は、フク3 緑の葉

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