テキスト1967
65/100

⑪サンキライ(山いばらの実)は昨年より保存の材料だが、まだ、実も赤くその季節のままの色を残している。ホックスフエース(狐の顔)も昨年より保存の材料で、なまの場合はレモン色だが、今は、褐色に枯れて渋い調子を見せている。茎はやや淡い褐色の枯葉色で、この二つの材料は、枯れた実ものを二種とり合せて、なまの花を入れないで仕上げた、変った趣味の瓶花である。花器は濃い赤色のガラス器で、褐色と紅と赤との同色系の配合を考えた、色彩のいけばなである。写真ではわかりにくいが、色の調子の面白い瓶花で、実だけ入れるということも、同色系の枯花とまつ赤なガラス瓶というのも変つている。中々美しく見られる花で、時としてこんな配合も面白いものである。後方ヘサンキライが台より下ヘ垂れ下つて、中央のサンキライは、ずつと前方へつき出ている°渋い配合でありながら、でき上った作品からは、新鮮な感覚があり、創作的な瓶花ということができる。D サンキライR洋種のテッセンは白花の大輪咲。これに椿の葉のまつ白ともいえるほどの、ふいり葉を添えて、この二稲を、褐色の50センチほどの長い花瓶に入れた。新らしいデザインの花瓶に、てつせんの蔓を垂れさせて、垂体の形に入れた。つばきとはわからないほどの美しい葉が浮き立つて、テッセンの白い花と同色の上品な配合を見せている。広い横長の黒塗板を使って、その一方に花瓶を置き、それに対照させて、パインアッ。フルの紅褐色の実を二つ飾った。前に小さく見えるのは、アテチョークの実である。ホックスフエースッバキテッセン。ハインアッ。フル花を豊かに自然に素子氏も個性的な作品(夕刊京都新聞評)いけばな桑原専艇流家元桑原専渓氏はこのほど六角烏丸西入の自宅で、夏らしい爽雅な小品花の展覧会を催した。家元宅の広いけい古場である二階座敷、階下教室、さらに奥の新設の書斎、子ども部屋などに専渓家元の作業ならびに、家元嗣子の桑原素子さんが個性的な作品をならべ、大会場とは違ったおちついたふんい気の中で作品を鑑賞させていた。専渓氏の作品はとくに花の選び方、そのかたちと色、葉のかんじなどにきびしい目がとどき、これとまたよく合った花器をえらんで、ゆたかにいけている。おそらく花の美しさを自然に、こんなに豊かにいける点で、随一といつてよいすぐれた感覚の持ち主であろう。索子さんはまたこの薫陶をうけ、さらにこの人らしく大胆で、あどけない個性を存分にのばした作品数点を協賛出品して色どりを添えた。中でも子供部屋の花と、デイス。フレーなど、すぐれてたのしいものであった。(七月一日二日)今月号は「生花」講座記事を休ませていただきました。次号より掲載します。5 E

元のページ  ../index.html#65

このブックを見る