テキスト1967
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Rダリアの白に淡いピソクのくまどりのある花3本。紫紅色の花4本。乳彩蘭(ニューサイラン)七枚を盛花にした。ダリアは七月に入るとよい品種の花が咲きはじめ、切花用の茎の堅い種類があり、これは日持ちもよい。ダリアはどの花材とも調和のよいものだが、ニューサイランの直線に白と緑の線のある葉に取合せて見ると、ことによく調和してモダンな感じの盛花となった。ニューサイランは色のよい、葉の表を前にして、まつすぐに立てならべて、その中に長短と前後の配置を考えて挿し、ダリアも前後の配置を深くとり、ニューサイランの直線、ダリアの花の曲線、この二つの形の配合と配置、花と葉の組み合せにエ夫をした。青磁の水盤に入れてみると、目もさめる様に美しい。この盛花でむづかしいのはニユーサイランの挿し方である。剣山にもとまりにくい。A B Rたましだ、むくげ(淡紅)、インコアナナスの花(深紅)の3種を、二つのさし口のある、新らしい様式の花器にさした。このたましだは温室で切ったのびやかな材料で、普通、花屋にあるのと違ってこ。f 水揚のよい種類である。しだの流暢な曲線を前後左右に配列して、このしだの置き方に調子をかえて、明るい花形をつくる様に工夫した。その蔭に深くインコアナナスを入れ、むくげを三輪(祇園まもり)短く挿し果物の色と形の美しいもの、野趣の深い実もの、根を洗った蘭、しだの様なものを取合せて盛り合せ、床の問の装飾とするのを、鑑賞果という。(或は盛りものともいう)古い時代の南画の趣味から出たもので、煎茶の床飾りや、盆栽と一しよに飾りつけたりする古風な趣味である。自然の実ものの中には食べものとするには惜しい形や色の美しいものがあり、また風雅な姿をもつているものもあつて、これを飾りものにして、自然の野趣の風雅を味わう、というのが盛りものの考え方で、現在のいけばなのその以前に流行した―つの形式であった。この考え方を新らしく解釈して、例えば、。ハインアッ。フル、ぶどうの葉つきの蔓のあるもの、レモンの淡黄を添えるといった調子に配合すると、明るい調子のものができて、しい趣味になる。盛る容器も新しいデザインのある洋風陶器、ガラス器などを使うのもよい。5ページの写真、テッセンに。ハインアッ。フルの配合は、いけばなと鑑賞果との取合せをしたもので、いわば、古い趣味を新らしく見せようと考えた作品といえる。左方に高く瓶花を入れ、右方に低い。ハインアップルの組み合せは、伝統的な古い形式で、新しい形とはいえない。鑑賞果(かんしようか)2 .... 美

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