テキスト1967
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①アイリスの紫、バラは黄に紅を交えた花、菊は白の一文字菊の3種盛花である。花器は黒色に白い線条のある六角型水盤で軽やかな感じの花器である。この3種の盛花は色彩的に美しく、淡白な感じの花で、まず普通の盛花といった作品だが、葉のたつぷりとした一文字菊を1本だけ使って調子をとつており、その他には特徴のある作品とは思えない。右勝手の基本型にそうて活けた盛花である。この水盤は足が四つある。三つ足の水盤は一本を前にして平懸き、四つ足の場合は写真の如く置く。アイリス普通のバランを薬品につけて、賽R④2白く源白した加工材料である。きれいに白く色が抜けて嫌味のない材料である。カーネーションは紫紅2本、淡紅1本、白3本をとり合せて、明る<軽快な味わいのある洋室向きの盛花となった。花器は淡紫色の変型陶器で、小さくてしまりのよい、その上、これも案外嫌味のないモダンさを持つている。いけばなには配列について考えることが多い。この盛花は、材料の形と色の配列について工夫されているが、バランの葉の並べ方や、カーネーションの形と色について、その組み合せに工夫のある盛花である。一文字菊ゞーラ③この瓶花は少し調子が変つている。カユウ3本、葉2枚、オレンヂのさびた色の小菊を数多く一とたばにかためて、花器の一方にぐつと寄せて、花の団結を作った。1月に入って小菊の残花の乱れたものを、まる<マッス状に作り、別に二、三本軽くさし添えて形をととのえた。菊の花色の中に緑の葉が見えて色彩的にも美しい。花のかたまりと、花葉のすきまを考えて作ったが、少し新しさを感じる作品といえる。花器は変型陶器の黄土色の中に、金色の図案がある。単純な花器の形と、花材花型の調和した瓶花といえる。。tこ 木ささげ、小菊2稲の瓶花である。木ささげは夏季に実の出来る喬木で、桐の様な広葉の中に40センチ程度の細く長い実をつける。ちょうど、ささげの感じに似ているので、木ささげと名付けられている。秋に入って褐色となり、いよいよ風雅な姿となる。俳趣といった感じの材料である。渋く軽妙な味わいがある。この花器は「いんべ焼」の新しい様式の壷で、花材の枯淡な感じに闘和していると思う。この花材、この花器に対し花型も変った調子に作り上げた。木ささげの長さを活かすことを考えて活け2 バランカーネーション⑤紅寒菊にシャガの葉を添えて盛花を作った。寒菊は緑の葉の中に紅葉を少し交えて美しい°濃く深い紅色の小菊の花は、のびやかな細い茎の形とともに、やさしく美しい姿である。シャガの軽い曲線の葉をとり合せて、まことに流似といった感じの盛花となった。花型も左右に均斉の形をとり、ひろやかな感じに仕上げた°右下に花のかたまりを作って、全体のボイントをここにおいたが、この様に一瓶の中に変化とひきしまりを見せるエ夫があると、そのいけばなにはずつと新鮮な味わいを感じるものである。

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