テキスト1967
51/100

⑪なつはぜの雅致のある枝振りのものを選んで、草(そう)の花形に活けた°緑の葉に紅色の若葉が交つて、初夏の新鮮な感じの材料である。ことに枝振りがさびて変化があり、葉もまばらに曲のある褐色の幹が見えて風雅である。雅趣のある材料なので、花形も自然風にのびやかな形がよく調和するので、草(そう)の形の中の「副流し」の形とした。副を普通の場合とは思い切つて長く出し、流暢な線をのびやかに流れる様に左方へ出し、真はこの場合にはやや短かく作り、腰の低い変調な形に作りあげた。横長の形である。真のため口も低く、副の枝の出しやすい調子に仕上げてある。留と控にバラを1本ずつ入れ、特に留のバラは前へ小さく出し、控はやや高く入れた。副の長さに対してバランスのよい様に、留を小さく作った°胴は小さく入れ、ほとんど副のあしらいの様に、こじんまり入っている。真と副の間に入っている2本の枝は、見越(みこし)といい、普通は1本だけ入れるのだが、この場合は空間が広いので2本入れ、たっぷりと入っている。(梅、つばき)(梅もどき、白菊)まり、すかしゆり)(やまなし、桔梗)(雪柳、なたね)など、この花形に作ることができる。二管筒の生花の場合に、上管にこの花形を活けると調和がよい。また二重切筒の上段にも調和のよい花形である。みずぎわは低い目に作ると落着いた感じにみえる。自然の材料ののびやかな姿と、生花の定型との調和を考えねばならない生花である。控の位陸になつはぜの小枝が入っているが、この場合、バラもなつはぜも二種ともに控ということになる。(こでc cこの花菖蒲は5月25日に活けた。盛季のしようぶの生花である。かきつばた、しようぶなどは初花と盛季の花、残花の活け方の区別をすることになつている。この写真には3本の花が同じ程度の、つぼみを入れてあるが、朋花、紫の見えるつほみ、青く堅いつほみと花に変化のあるのが望ましい。れるのが普通である。また、真、見越し、胴と3本入れることもある。花菖蒲は留に花を入れない。(高く登る性格の意)かきつばたは留に花を⑬ なつはぜ花3本のときは、真、副、胴と入入れる(低く咲く花もあるという意)従つて、花菖蒲の留は、いつも葉組みで作ることとなる。この作品は、花三本に葉組五つの生花で、葉組みは、(真五枚)(副五枚)(胴七枚)(留荘枚)(控三枚)で形づくられている、真の右側に高く見えるのは、真の花についた葉で後方に出ている。特に注意することは、胴の葉の七枚糾みの作り方である。一ばん低く左右に添える葉は「おや葉」といつて、小さく強い葉を選んで使う。真に聞花を入れると花姿がよい。7 右勝手草の花形(副流し)花器・備前焼花瓶ばらはなしようぶ左勝手行の花形花器・淡褐色腰高水盤

元のページ  ../index.html#51

このブックを見る