テキスト1967
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いけばなは室内のどこへ飾つてももよいのである。日本座敷には伝統の形式があり、床の間や棚、書院窓の様に、その装飾の仕方にも約束があるが、その和室でも近頃は段々と様式も新しくなり、生活そのものが機能的に考えられる様になった関係上、いけばな装飾も、自由に飾りつける様になった°所に花瓶を置く。ただ、その場所によく調和することをよく考えて、花器と花材、花型の大きさなどを選択することが必要である。洋間の場合飾りたいと思う場は一圏、自由にいろいろな場所に飾つてもよい。和室には普通、いけばなは一っ‘(中作と小品と2瓶飾つてもよい)だが、洋間の場合は少し多く、普通二つ(広間には3瓶も飾りつける)活けることが多い。洋間の中心となるのは暖炉である。が、棚、隅卓、中央卓など飾りつける場所が多く、ことに最近は私達の生活様式も段々と変つてきて、ア。ハートメントの生活など、簡単にして便利のいい考え方をもつ様になり、いけばなも自由にどこへでも懺く、といった考えになった。ここでは、そんな考え方で作ったいけばなを16種、写真にしてご覧に入れることにした。ただ、花器と材料と場所のよく調和することが必要だから、それについてよく注意して欲しい。また、みなさんのお宅で、飾りつける場所をよく考えて、それによくうつるお花を作って欲しい。写真は私の家と、浜村章子の住むコヤナギマンションの部屋をモデルに使って、いけばなを作った。いずれも小さい部屋であるから、小品のいけばなが適している°普通のお稽古で活ける様な作品でなく、特にその場所によく似合う様な花器と花を選んだので、特殊な小品花となつている。また、生活の簡索化という意味からも、少ない材料で短かい時間で活けられるということも、必要な条件となつてくるから、この程度のものが適当であろう。特にこんな場合のいけばなは、花器もよく考えねばならないし、花も小量でも美しいものを選ぷことが大切である。(専)2 4帖半程度のすみにある洋服ダソスと書棚、その書棚を置く場所に、淡褐色の花瓶に淡紅のバラを2本活けた。上と下に花を箇いて簡単な形に活けたが、気軽な気持のこの盛花は大きさも手頃であり、美しい色と新鮮な感じの花である。また、細口の花瓶にラッ。ハ水仙1本か2本ほど、さしてあるのも、やさしく美しい小品花となる。本棚の書物は必要品であるが、また室内装飾の役目をもつているから、並べ方にも頭を使う様にしたい。3 ①12

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