テキスト1967
10/100

せいか生花には右方を表とする花形(右勝手)と、左方を表とする花形(左勝手)の二つがある。前号の挿図にある如く、左勝手の場合は留が左にあり、右勝手の場合は留が右の方へ出る。つまり左向き右向きという言葉を、左勝手右勝手と術語でいうことになっている。要するに留の出る方が、その生花の表ということになる。右勝手と左勝手そろえる生花は花葉枝を整然とそろえるという考え方が基本になっている。まず、枝や茎を幾本となく美しくそろえる。葉蘭やぎぼうしの様な広い葉ものを重ねて形よくそろえる。菊の様な材料は花の高低を考えて足もとを一ともとに揃える。ことにみずぎわ(足もと)を一本にまとめて、美しく揃えることは、生花の特徴のある活け方で、そのみずぎわの揃え方でその生花のよしあしが定る。四季を通じて多くの草木を活けるのだが、いずれの場合も「そろえる」という考え方が基本として必要になってくる。まず、美しく揃える技法を勉強することが大切である。朝鮮まき揃えることとよく似ているが、枝葉枝を組んで形を作り上げる考え方である。太い松や梅の曲のある幹を、生花の定った花形に作るためには、ぽくとぽくとをうまく組み合さねば美しく仕上らない°揃えることと同じ様に思えるが、少し異つて、これは自然草木のすでに持つている形を組み合せ、無理なく生花の花形にあてはめる技法である。また、ばたや花菖蒲、水仙、葉数の多いものは、それぞれを組み合せて花型を作る。(葉組みもの)揃える技巧は勿論、必要ではあるが、ただ揃えるだけではなく、組み合せに生花の約束があり、組み(右勝手行の形)組む方に作者の考え方が必要となつてくる。生花の重要な技法の―つである。花の配置を高く低く、或は前後に深く、また、ななめに花を並べたり、大輪花、小輪花の配置の仕方。くばり木の方向配置。水盤生花の場合、花留の位置と株の据え方。二瓶以上の生花を組み合せる場合の配置。これは、同時に枝葉によって作られる空間(すきあい)との関係があるのだが、配置の方法が、最初から最後まで花形に影響をもつことになる。よい配置は花型をよく見せる。花形の釣合い、安定したバランスがあることが必要である。普通の混和な花型の場合は、基本型通りに活けると、その花形はよいバランスを保つことが出来るが、花器が変調な形の変ったものであったり、活けるかきっおもとの様にで真6その11本ま内屈J""‘ 留の沈み配置均斉の基本形総囲い材料が変化のある木振り枝振りであった場合、自然にバランスが変つてくる。そんな時にどうして均衡のよくとれた花形をつくるかということは大切なことである。また、花の分量を多く使ったり、少く配置したり、これの均衡にも注意がいる。ことに伝統生花の場合は、枝の長短に変化を作ることが多く、しかもそれが必ずといい程、左右前後の均衡のとり方に、定った方法が定められている。瓶花や盛花の様に、自由に形を作ることは出来ないし、生花の枝葉の出し方、花型には約束があって、その中に「枝の配置と均衡」が結びついている。みずぎわ生花の一ばん重要な場所はぎわ」である。足もとの―つにまとまったところ、生花の特微をあらわす場所であるPみずぎわは生花の前胴の沈み「みず生花について②

元のページ  ../index.html#10

このブックを見る