テキスト1966
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秋から冬へかけて、いけばな材料に実つきの草木をいろいろ使う。実ものの材料に菊をそえると、簡単に秋の瓶花や盛花が作れる。それほど調和のよい材料である。晩秋より初冬へかけて渋い味わいの雅趣を感じられるのも、その特徴である。花材として使いやすい、この季節の木の実、草の実を考えてみよう。柿、かりん、信濃柿、さんざし、梅もどき、木の実草の実栗、ほけの実、椿、木ささげ、さんきらい、山いばらせんだんの実、藤の実、むらさきざくろ、槙の実、ななかまど、鳥爪、あおき、ばらの実、南天、せんりよう、まんりよう、やぶこうじ、さねかづら、つるもどき、さんしゅう、かきつばた、おもとうばゆり、菖蒲の実、なたまめ、リーガルリリー、紫蘭、蓮、フォックスフエース、あけび、むべ、脊?ん、はぶ草の実、木蓮、木いちご、白やまぶき、ぶどう、おくら、ビラカンサス(その他)①ヒオオギの実と白中菊2種の瓶花である。ヒオオギは7月に黄色の小さい花を咲かせ、夏を越えて9月には写真に見る様な風雅な実をつける。この瓶花は10月に活けたものだが、茎も長い曲線をつくつて中々面白い形である。変化のあるものを3本選んで、左右に思い切つて長くさし出し、対照型の形に活けた。副材は平凡な白中菊でこれはあまりよい材料ではない。花器は白地に黒い線条のあるカツ。フ型花器で、内部は朱色で、花瓶の口から少しその色が見える。ひおぎ(日扇)(射干)\ 2 左右に少し調子をかえて、ひろやかな形を作り、左方はかなり斜前方に出ており、右方は殆んど横に入っている。まん中の実は少し後方に入りこれも少し前へ傾いている。菊は中央下部とその上部に1本づつと、一ばん奥深く1本入れたが、この瓶花は比較的細い花器に、軽い茎を左右に思い切つて長く出して、重量的にも大丈夫、バランスがとれている。横に長くのびた壁面の前に飾りつけると調和のよい花だと思う。R1の写真に使った同じ材料を、平凡な基本型に活けかえてみた。真、副、胴に1本づつ旦扇を入れ、菊は控を高く入れ、中間、留と3本前後にならべて挿した。同じ材料でも、初級の活け方と、自由な活け方とは、こんなに違うという、参考のための花である。①の飛躍的なのびやかのに対し、③は消極的に窮屈である。瓶花盛花のよさは、この様に自由にのびのびと活けることにあるのだから、初級の人達は、基本型をしつかり勉強して、やがて、自分の思うままに、形を作ることが望ましい。8 科名原産花言葉アヤメ科私は暑さに負けない本邦中国

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