テキスト1966
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形を作る場合も多い。また、木蓮、老松、八重桜のように自然の枝振りを選択し、その長短の組み合せだけで花型を仕上げる材料も多い。これとは反対に、曲げやすい木もの草花は、材料をいためない様によく注意し乍ら、柔い曲線状にためて花型を作ることになる。草花でも水仙、中菊、小菊、なでしこ、ばらんの様にためやすい材料は曲線にためて花型を作ることが出来る。枝もののうち、梅、彼岸さくら、さんしゅう、桃などの様な春の花木類。猫柳、行李柳、エニシダの様な細い枝ものは、柔い性質の材料であるから、充c 分、曲線にためて美しい花型を作る。その材料が柔くためやすい材料であるか、かた<折れやすいかは、中々わからないものである。そんなとき、枝の足もと(切り捨てる場所)を曲げてみて、ためやすいかどうかを試験して、その後、実際にためる場所組み合せで形をととのえる様に工夫をする。まるくためて行く。木ものは軽く音さて、はじめて材料をもった時、にかかるのが一ばんよい。すぐ折れる木ものの類は、自然のままの枝のためる場所は、真の部の中央のところを五ケ所程度にわけて、徐々にのする程度にためることもあり、猫左勝手の花右勝手の花柳やエニシダの様な材料はしなやかに柔く曲げる。材料によってため方に手心がいるわけで、ためるその瞬間は息をとめて、両手にしつかりと力を入れ、しかも直接、手の力を枝に加えない様に無心のうちに徐々に力を加えて行く。ためる場合はいつの場合も、この考え方が大切で、一心をこめてやらないと、思いがけなく枝が折れる。五ケ所ほど少しづっためて行くと、直な枝も柔い曲線になり、真の形にほどよい調子となる。ここで、この下の図版を見て下さい。⑪図の三つの花型のうちの中央に「行の花形」があるが、この図に示す様に、木ものの材料(例えば彼岸桜の様な柔い木もの)の真のため方。留のため方は、以上にのべた様に、徐々に場所をわけて静かにためて行く。また、この図版の右方(真の花形)は菊の様なまつすぐなためにくい材料を活ける場合に、こんな直な花形を作ることになる。左方の「草の花形」の図版は、自然のさびのあるぼくもの(太い木もの)を活けた花形で、変化のある花形といえる。花形に「真、行、草」の区別があるが、これは項目を改めて解説することにしよう。以上は、ため方の話であるが、これは技術の問題であって、筆に書いてあらわしにくい事柄であり、実際にあたつて練習せられんことを望む次第である。また、最近は生花に使う材料も段々とひろやかになり、種の草花の色彩の明るい様な花材を使うこととなつているから、枝をためるという基礎的な考えから離れて、草木の自然のままにためないで、材料をそろえて高低前後の配箆によつて形を作るー—こんな生花が多くう草その花形なった。例えば、「テッポウユリ、バラ」の生花。「ヤシの葉にゼラニユーム」の生花。といった感じの配合は、軽く美しい生花が作れるわけで、この場合には、ためるという考え方は不要であり、花葉の配置とそれを美しい技術によって整理する、そんな方法に重点を置く様になる。5 ..... 洋生花には,⑪ いろいろな型がある(真,ノー打,草の花型)

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