テキスト1966
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バラの盛花を5作っくりました。バラは11月に自然咲(露地)が終つて、その後は温室咲の種類となり、3月まで美しい花が見られます。年末に迎春の花として用いることが多く、日持もよいのですが、お値段も中々高く高級の湿室花といえます。理想的にはその中の上級品を選んで活けると、花も美しく咲ぎ、葉もしおれませんし、永く楽しめます。温室のバラを二、三本を他の花材にとり合せて活けると調和がよいのですが、露地のバラの枝葉とっぽみのあるもの(地バラ)を添えて活けるのも、花型を作る上に活けやすい場合があります。バラは一種挿に活けても、他の材料と取合わせても、実に調和のよいもので、活けやすい材料でもあります。ここではバラにそれぞれ違った材料を配合して成皿花を作りましたが、その形と色調について考えてほしいと思います。三月頃まで同じ取合せで活けることができます。巻頭1ページの盛花は雌松2本、紅バラ3本、緑の葉がたっぷりと豊かです。副と胴に松。中間にゆったりとバラを入れ、みずぎわにたっぷりと濃緑の葉があります。新年の花としても、また普通の場合の花としてもひろく用いられる花です。堅いっぽみを活けて花器の中で咲かせるのが、普通なのですが、いけ花として形のよいのは、この程度の開花がよく、日持ちのよい材料は始めから開花を交えて活けることです。A ノゞラノゞラリーガルリリーの枯花(淡褐色)信囚とバラ(濃紅)。ちりめんひばの黄葉(黄褐色)の3種の盛花です。花器は黒色にさびた金色の線条のある水盤です。立体調の盛花ですが、百合の実の直線を揃えて立て、前方の胴に1本入れ、その後方ずつと控えて、チリメンヒバの黄色に彩った小さい葉の群り、すそもとの群青色。バラの濃緑の葉はたっぷりとして、のびのびとした形に、中問を形づくつています。落着きのある美しい色調と、のびやかな形。明るい惑じの成皿花です。B 3本と紅バラ⑱カユウ(湿室咲)3本。たちひかげ云蓬莱草)を後方に入れて、この盛花は左右均斉の対照型です。ヵュウの花を真、副、胴と3本入れ、その中央にバラの開花を交えて色彩の配合をとつています。ヵュウの葉はしつかりと引きしまりのあるものなれば、この様に使つてもよく、柔く悪いものは水揚が悪いから花だけ使う様にします。ヵュウの花3本の配置とバラ3本の組み合せに、注意して下さい。花器は木製の器にさびた金色の環がある珍らしい器です。2 薇ら(B) カユウ(A) ユリの実ちりめんひばヒカゲカヅラ薔ば

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