テキスト1966
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ビートルズの狂躁的なリズムは、盛夏の夜にふさわしい感覚かも知れません。でも、このヒステリックな音楽には、どうにもついてゆけない人間もおります。ただ、そうは思っても、いけばな本来の「静」なる姿だけでも。なんとなく物足りない。そのような気持で。生けたのが、このカラー2題の作品です。これは私だけの感じかも知れませんが、一般に「かゆう」といわれるオランダ海芋(かいう)は、なんとなくモッサリした泥くささがあります。メキシコの画家リベラが好んで描くものですが、この土俗性に対して、カラーという名前は、先鋭的でモダンなムードがあります。事実この写真のカラーは、するどい形で、今ようにいえばクール(冷めたい)な感じをもつています。右の作品は、カラーの花と葉の一種挿しで、やわらかい性質の花材を、なるだけきびしい形にまとめようとしました。そのために花器もソリの鋭い素焼きのコンポートを用いました。下の作品は、カラーの花と葉に、これもクールな感じのァーテチョークの花を取合せました。花器はドッシリした型の凸起のワレ目がある創作陶器で、花器そのものの特長が、―つのムードをつくるように選んだものです。ヵ―フ出させて自家薬籠するかという、大難関がまずあった。そして結果、帳尻は赤字となり、周囲の者に叱られるオチがついていた。いろいろなショーの会場、劇場の舞台、映画館の宣伝物、テレビのセット、造庭とその置もの。多い時は延百人以上の協力者を使い、巨きいものでは高さ十六メートルの屋根以上)のものを、大阪は道頓堀のまん中におつ立てたりしたこともあった。さすが、中年と呼ばれる年代になると、諸事万端しんどくなってきたのであるが、日本中のいけばな人の中で、私ほど多くのものを制作した者もあるまいという、心ひそかな。フライドをもつて、いまだに師匠と作家の間を往復しているのである。いけばなデコレーターこれが私の肩書きと言えようか。この号のテキスト、1ページより5。ヘージまでの作品、解説、編集はこれを作っておりました頃、病床にありました父専渓に代つて、私どもが代理作成をいたしました。いつも充実した内容の、父の責任編集のテキストですが、ここでは見ることに重点をおき、活字を少なく軽いタッチで綴りました。盛夏のひととき、皆さまお気軽にご覧いただければ幸いです。完溺・素子おことわり(二階建(装飾家)(完溺)5 . 2題むし暑いタベにクールなムード

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