テキスト1966
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咲きにおう花を、スポットにあてられたステージのスターにたとえるなら、みどりなす葉は舞台の装置。実のものは、オーケストラのメンバーでしようか。お花が美しいほどに、その実はあんまり芳しくない。結実した形が、つややかな姿の植物は、それほど多くありません。固く青々とした円のつらなり、一っ―つの球体が、それぞれに強い光緑のつぶつぶしたたる緑をうけとめて輝やく。夏の日ざかりにはそんな実のものを探して、生けたいものです。莱のしげりも快ちよいものです。夏の青葉は、水揚げの悪いものが多く、日保ちもよいとはいえませんが、細心の行届いた手入れと、常に新鮮な花材によって、一だんの快よさを発揮するでしよう。固い実をモチーフとしました。ラルドグリーンの宝珠が、つぶつぶして、清涼感を与えます。根締めの黄色の菊はワキ役で、の動きを助ける役目です。又、実と同じょうに、水々しい青左上の瓶花は、つるもどきの青く点の軽やかな構図、磨かれたエメ青いつぶつぶ(盛花)右下の作品。香港製とかの小物入れ、藤つるを荒くあんだ籠を応用しましたぷ十のおとしの色にも注意し、剣山を入れます。ここでの主役はだんぜん、かえでの青葉ですが、この応用花器の口からまともな挿し方をせず、大部分が籠のあみ目のスキ間から、挿してあります。そのため幾分うつわが低く見えますけれど、これは〈したたる〉という効果を強調するためです。主役の緑の衣裳に対して、ワキの白菊は目立たず低く入れました。3 (瓶花)つるもどき(花器)褐色素焼壺かえで白菊(花器)応用かこ‘‘黄菊11

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