テキスト1966
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花材の分拭が少くても、惑じのよい花が作れる場合がある。淡白ですつきりとした花。単純でしかも美しい、そんなところに基準をおいて、この盛花を作った。アリアムの細い茎のものを2本、スイレンの葉2枚と花2輪を、黒く小さい腰高の水盤に活けてみたが、出来上つてみると中々、変つていて面ァリアムスイレン白い。アリアムの2本がそれぞれ形をかえて、のびのびと、しかもこの二つの曲線によって花型をつくり上げている。スイレンは花も葉も低く花器に安定させ、アリアムは高くスイレンは低く、その対照も面白い。花器の細い線もアリアムに対して効果的である。こんな花型を立体(りつたい)というのだが、右勝手の真、副にアリアム、留ヘスイレンの葉、中間に開花を入れ、後方に控えてつぽみを挿した。この様な軽い惑じの材料は高く挿してもよく、すらりとのびやかなところに特徴のある盛花である。A B @ サンキライキキヨウ山地に野生するサンキラィ(山帰来)は、サルトビイバラ(猿飛いばら)ともいわれる。初夏の頃、浅みどりのつぶらな実の出来るはじめより、赤く実の色づ<晩秋初冬の頃まで、いけばなには好ましい材料である。たれものであるから、高い場所や、背の高い花器に活けると調和がよい。あしらいには和種の花、洋花のいずれでもよく調和して、応用のひろい材料である。写真の瓶花は、褐色のヤキシメの陶器の壺に、サンキライ、キキヨウの2種を、垂体(すいたい)の花型に活けた。左勝手で留を長く右下に垂れさせて、キキョウが真に入っている。花器の背が高いから、花は低く入れ下の方に重点をおいて活けるとバランスよく見られる。tヽ七月けのばな毎月1回発行桑原専慶流R網集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1966年7月発行No. 41 いけばな

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