テキスト1966
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新しくいけばなを習いはじめる人のために、誌上講座を始めます。入門早々から中級程度にすすむまで、その人を前にした様な気持でわかりやすく話して行きたいと考えています。すでにながく稽古を稼んだ方には重複する話もあると思いますが、またくり返して考えるのも、無駄ではないと思いますから、盛花瓶花に対する考え方を整理する意味でお読み下さい。誌上講座(専渓)まず、ものを習うということは教える先生が熱心で教え方が巧いということが、何より必要でありますが、習おうとする人も熱心で、お稽古を休まないことが必要なのです。「教え上手、習い上手」という言葉がありますが、この言葉をよく味わって、スローモーションのゆつくりとした進み方でもよいから、考えつつ学ぶ、自分の技術を上げるのは自分だという様に考えて、しつかりと研究して下さい。日本のいけばなは600年の歴史と伝統があって、その種類もいろいろありますが、ここでは、一ばん大衆的といいますか、現代花ともいわれて盛んである、盛花瓶花(モリバナ、ビンカ)についてお教えすることにしましよう。この講座は大分ながく継続しそうです。ゆつくり腰を落ちつけてお話する積りですから、どうぞ御愛読下さい。講義をはじめるにあたつて、左記の様な。フランを立てました。話の関係上、順序が変るかも知れませんが、大体はこれによるつもりです。ー、盛花瓶花の区別とその特長2、花材の配合心3、配色について4、基本型5、盛花瓶花の技法花型、留め方、ため方、寸法。整枝整葉、水ぎわの技巧゜6、花器7、応用花型8、花材について四季の花材、自然の花材、枯花枯葉、木の芽、花実、根茎゜9、色調の技術10、花器の研究11、季節と花、季節惑12、特殊花型13、創作14、盛花瓶花の意匠15、装飾のし方16、作品と惑覚17、水揚について盛花瓶花の区別とその特長盛花(モリバナ)と瓶花(ビンカ)は、殆んど区別する必要のないほど、よく似たいけばなであります。ただ、お稽古をすすめる必要のために、ニつの区別を立てて入って行きます。IwA-段々深く入って行きますと、結局はこの区別もなくなり、つに呼ぶのがふさわしい状態になって参ります。これは、技法上の問題だけではなく、花器との関係があって、最近の新しい様式の花器は、盛花の花器、瓶花の花器と二つに区別することの③⑧この二つの活け方を区別して習いま出来ない中間的な花器が多くなりましたので、盛花瓶花と区別することに矛盾(ムジュンーー或るものに対して肯定と否定とが同時に行われること)を感じるほど、その形式なり技法がよく似通った花を作ることになります。最初、習いはじめるときは瓶花は瓶花、盛花は盛花として習うのが習得上、練習上、便利でありますのです。段々上達すると殆んど同じ様になりますから、そのつもりでやって下さい。材料の点からいつても、盛花に使う材料も瓶花に使う材料も同じであり、花型、配色の考え方も同じであります。ただ、留め方という点にはそれぞれ違った方法がありますから、それを習う必要があります。それならば、出来上った作品が盛花も瓶花も同じかというと、全然、違う惑じのものがあり、盛花であればこそ惑じられる特長もあり、瓶花なればこそ味わうことのできる特長「瓶花」と一もあります。これは、花の材料から来る場合が多いのですが、また花器と飾る場所との関係もあって、盛花瓶花のそれぞれ必要な場合がある訳です。例えば、水盤や口広い花器はたっぷりとした水面を見ることのでぎる特長があり、これは盛花でないと見られないよい所です。また、壺や籠のさつ。はりとした感じ、風雅な淡泊な調子の花っどつしりとした大ぎい壺の豪華な感じは、盛花にない味わいでもあります。茶席の小品の花など、これも瓶花の特長といえます。さて、あなたが初めてお花を習うときには、盛花は水盤に活け剣山(ケンザン)花留具を使って留め、花型を作ります。瓶花は壺に活け、丁字留(チョウジドメ)という留め方で花型を作ります。これが甚本であって、これを反復練習して、技巧が上達すると、花器も変ったのを使い、留め方も段々複雑な方法を習うことになります。初心の人が一ばん考えねばならないことは、花型(花器とのバランス)°留め方です。最初は単純な基本花型を習うわけですが、同時に、花材(カザイ)の配合と、花器によく調和すること、花器との大きさのつりあいを考えねばなりません。7 盛花瓶花入門① この場合は,カメラヘ向けて花を活けています。いけばな講座放送の専渓氏NHK京都スタジオで

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