テキスト1966
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唐桃には白花と淡紅の2種がある°形がよくととのつて、花瓶に入れるとそのままにおさまるよい格好のものが多い。花も単弁で明る<美しい。この桃は私はあまり好きではない。なぜかというと、あまりにも形がよくまとまつており、変化に乏しいのと、桃の野趣といったものが殆んどない。つまり面白味のない材料といえる。そんな次第なので、これを活けるには花型にとらわれない様な、ぶつきらぽうの活け方をするのがよいと思う。叡つばき、ばいも、アイリス、ばらなどを赤えて活けると調和がよいが、ことにやぶ椿のさびた枝の曲(盛花)からももアイリスりのあるものを長く使って挿し合わせるのも面白い。この写真の盛花は濃い紫色のアイリスを2本そえ、花器は褐色の「やきしめ」の鉢を使った。花型は温和な初級の人に解り易い様な形に作ったが、右勝手の真、副、控に桃花を入れ、中間、留にアイリスの花°胴へはアイリスの葉を入れ基本型に作った。色彩的には大変美しい花で、渋く上品な床の間むきの盛花である°若し野心的に入れるのであれば、の軽やかな枝を桃の高さまで並べる様に挿し、足もとをすかせて、枝線を見せる様な活け方が面白い。花器は褐色荒土(あらっち)花瓶。口もとの細くしまった花器である。アカシャの淡紅の花は滴開で、花瓶の褐色と配色がよい。カーネーションは涙い紫紅色の大輪咲きで、この瓶花は軽く明るい惑じの花である。壺は下でまる<ふくらみ、ロもとで細くなり、アカシャ赤椿(瓶花)は左右にひろがつて、カーネーションの個性を活かした花形といえる。この様な花型を対照型という。アカシャはつぽみの堅い頃、花の瀾開のものが水揚げがよい。少し黄色く色づいた咲きはじめの夜は水揚げが悪いIアカシャの感じのよいのは、この写真の開花の頃である。アカシャカーネーション

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