テキスト1966
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cいけばなには季節感のあることが大切である。5月に入ると木の花も殆ど終り、山木の緑のすがすがしさに初夏へのうつり変りを惑じる。この頃のいけばなは賑やかな美しさよりも清楚な感じのもの、派手な盛花よりも軽やかな投入れ、単純ないけばなが好ましい。ことに杜若、芦の若芽など、また早くも咲き始めた睡蓮の花など、若葉の木ものを添えて活けるのもすがすがしい。写真、cは、(ムギ)(ポピー)2種の瓶花である。ポピーはオレンジ、淡黄、白の花が15本°緑色のムギを配合して、さつ。はりとした美しい色の配合である。この一一種の材料は直立した形の、細く美しい線をもつ瓶花で、清爽な惑じの深い花材といえる。花器は赤褐色の陶器で形も新しく新鮮な惑じの花器である。花器の中へ剣山を入れ、ボビーは一とたばに足もとを細いはりがねでくくつて、まつすぐに立て、花首を上方に揃えて、そのうちの2本は茎の変化のあるものを選んで、1本ずつ挿して花型の空間をつくつた。ムギは1本づつ挿しながらポピーの花と同じ高さに作り上げたが、すぎまのあるあっさりとした惑じの中に季節感のある瓶花といえる。(朝日新聞掲載)⑪紫と黄色の。ハンヂ16本、淡紅のツバキを3輪。首短かく切つて、ガラス器に活けた。小品ながら美しい色彩の花である。いけばなというほどむづかしい考え方でなく、庭の花を切りとつて、軽くさした意匠的な花です。桜が終つて漸く初夏の季節に入ると、ガラス器、白竹の籠などさつばりとした花器が好ましい。きれいな水を一ばいに入れて、色調の美しい花を水に浮かせる様に活ける。可愛いい5月の草花を、新しいアイデアで活けたいものです。~-\ (瓶(盛花)花)ムギヒナゲシツバキハンヂー⑪

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