テキスト1966
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ゆく春や遂巡として遅ざくらまことにこの春は、私にとつてあわただしい月日であった。一月一日、この日が私の仕事始めの日であったが、それからずつと今日まで多忙な日々を送り迎えたが、庭の梅の花もいつしか過ぎ、落ち椿の樹のしげみに山吹の黄色の八重咲きを見るこのごろまで、その日その日をどうにか無事に済ませて来たことをかえりみて、ほつとしている次第である。テ惜春2閾蕪村キストの読者からもたびたびお便りをいただいたが、いいわけにならないお返事を出すことも、うしろめたく、とにかく4月20日21日の両日でこの号をつくり上げた。特に野村順一氏の玉稿を頂いたことを感謝している。蕪村の句の様に、暮れなずむ春の日に遅ざくらを惜しむ風雅も、どこへやら忘れてしまい、ただ、その日その日の誤りなからんことをのみ願つて、五月の初夏を迎えた。遅ざくらのいけばな二瓶、ここに掲げておわびの言葉にかえる。(専渓)@この瓶花は積極的な感じのある作品である。配合も珍らしいが、黒い花器に対して桜の白、アカシャの淡黄の開花が美しい。中央に空間をとつてアカシャの形も面白い。単純ではつきりとした個性をもった作品。@高足の盛花器。サクラにカキツバタの配合は湿和な美しさを見る配合であり、色彩的にはきれいだが平凡な作品といえる。唸ご?,:ヽ•~ ‘ 毎月1回発行桑原専慶流’‘'.I;, ・•.•. ・ミ.. • 編集発行京都市中京区六角通烏丸西入. •. _. ベアカシャカキツバタ桑原専慶流家元(瓶花)吉野桜(盛花)土野桜1966年5月発行No. 39 いけばな. . 亀、、9~,

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