テキスト1966
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R梅のずわえ(若い立ち枝)と、湿室咲のひなげし(ポビー)の二種の盛花である。緑に褐色の梅、ひなげしはオレンジ色、淡黄色の花が交つている。花器は赤褐色の楕円型陶器。葉を用いないで直線の線条を数多く使って、まつすぐな立体調に作りあげた。そして、そこに何か変ったもち味を作り出そうと試みた作品。葉のある材料をやめて、足もとのすきまに美しさを作ろうと考えた。そして数多くの直線が揃うと、面白い惑じが生れてくることを計算して、花器も広口の効果の出すことのでぎる花瓶を選んだ。細い木と草の茎を数多く入れてこそ此の味わいが出る。梅もボビーの花も二段に頭を揃えて、全体の花型にも調子の変る様な工夫をしている。この場合には花器が深いものでないと、足もとがぎたなく見える。上から見おろすよりも側面から見ると形のよい花である。三角葉アカシャカーネーション造花枝や茎の折れたとき材料の折れたとき(木でも草でも)少々のことなら、切り払わないでそのままにして活けます。垂れ下らない程度なれば、そのままで水揚げるものです。ぶらりとさがるほどひどく折れた場合は、静に枝をもとの姿にもどし、折れロを水でよくしめして、細いはりがね又は色糸でしつかりくくつて置きます。案外、水揚げるものです。急ぐときは落着いて時計を気にしながら花を活けるといった場合がありまトルコ青(群青色)のこの壺は扁壺(へんこ)という形。材料は三角葉のアカシヤ、オレンジ色のカーネーション5本、アジサイ(造花)の黒色に染色したもの。造花と生の花材の取合せだが、色彩的に美しい花である。花器の青色に対して黒とオレンジ色と、アカシャの白緑色を加えてある。花型としては左右対照の平凡な形だが、色彩的には美しく、黒い造花がこの場合、効果を出している。す。急ぐほど時間がかかり、うまく入りません。こんな場合は反対に落着いて静かにお活けなさい。その方が早く入ります。大体、心に思いごとのあるときは、花はうまく作れないものです。活けてから日のたったお花は、花瓶から抜いて水を全体にふりかけて洗います。すがすがしい姿になり、更に花器の水をとりかえて活けなおすと、もう一度、新鮮に見られます。古い花を庭へ出して、一夜おくとすつかり、新鮮になり、勢をとりもどします。花を洗う立花「松の一式」1月15日、京都観世会館で茂山千作氏、千五郎氏製名の能狂言の会があった。その会場装飾として寄贈の「桑原専渓作松の立花」である。松の一式の立花は昔から祝儀第一の花として、この催しの様なお祝の席にふさわしい花である。ことに、古典的なふんい気のある能楽堂に飾る装飾花として、最も調和のよい花といえる。この立花は3日間で仕上げたが、松の材料の良質のものがなく、採集するには期間がなく、雄松と五葉松を自然のままに使ったが、やはり立花にはメマツが好ましい。なんとなくごつごつして軽やかさと、風雅な味わいがない。花器はどっしりと安定して形のよい花器である。5 cc

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