テキスト1966
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雪柳つ9ギ6第7号でお話したが、横がけ(床柱の花)と、向うがけ(壁の花)の二種類があり、そのうち向うがけの花は、床の間の壁面中央に正面に向けかけばなについては「テキスト」花材て花器をかけ(この場合、かけ軸はなく、壁のまん中にある胴釘に花器をかける)花を活ける。また、床の間でなくとも、座敷の適当な場所の柱に釘を打つて、花器, きをかけ、この向うがけの花を活けることができる°洋室ではこの形式のかけばなを「壁かけの花」というが、和室では写真に見る様に柱を利用して、活けることのできる便利のよいいけばなである。大体、いけばなは花器をその場所に置いて活けるのが普通であって、高い位置に花器をかけて花を活ける「かけばな」また、花器を天井よりつりさげて活ける「つりばな」などは、いけばなのうちの省略された形式であるといわれている。しかし、「かけばな」「つりばな」は大変、感じのよいもので、ことに簡単に挿すことができ、材料も少<て感じよく入るし、しかも風雅であり趣味のよい花であるから、皆さんも時々、お活けになる様におすすめする。盛花瓶花の残花などを利用して、手軽く挿してもよいし、あまり形にとらわれないで、なんとなくあつさりと場所に調和する様に考えることが大切である。かけばなの釘は床の問の上より3尺二、三寸程度より五寸程度まで、座敷の広さや、その他の調和を考えてきめる。床柱の花は「横がけ」といつて花器が横向きになり、花も横姿に入れる。「向うがけ」の花は花器が正面に向き、正面と左右の一一一方から見る場合が多いので、花枝を左右へさし出す様に形をつくる。また、一方へのみ枝を重く出すと、花器が傾くので左右へ出して重さのバランスをとるという考えも含まれている。かけばなは高い位置の花であるから、洋室の様に立つて見ることが定りである場合はよいが、和室の場合は立つて見、座つても見るというのが普通なので、かけばなは上から見ても下から見上げても形のよい様に活けることが大切である。左右、正面、上下、と見る位置が変るので、活け方もむづかしい、ともいえる。材料が少くてあっさりとした花の中に、以上の様なよい形をつくるのはむづかしいという訳である。そんな点で、かけばなは、手軽に挿して淡白な趣味を楽しむ花でありながら、ポイントをよくつかんで活けたお花は、見るものに探い味わいを惑じさせる花である。椿一、ニ輪、山菊小批、山百合二輪、雪柳につばき、おだまぎ草一種、姫百合、ばいも、フリーヂヤの様に、軽やかに美しい花がよく調和する。かけばなというと、茶室の花と思われるほど関係が深い。草庵の茶室さ、道具との配合上、かけばなが調などには、茶の心、その場所の広和がよいために多く使われるのだが、茶道に使うかけばなと、私達がいけばなとして活けるかけばなとは少し考え方が違う。花道としては装飾に重点を置くために幾分派手やかになり、茶花としては、なるべくひつそりと幽静な感じに入れることが習恨となっている。む向こう懸がけの花悶... 毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入部屋の中央の柱に花器をかけかけばなを活けました桑原専愛流家元1966年2月発行No. 38 いけばな

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