テキスト1965
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やや古風な感じの瓶花を二つ並べてみた。落ついた風雅な趣味の花である。年代をへた古風な座敷、さびのある庭。床の間のかけ軸、飾りつけなど静かなたたずまいのある座敷には、いけ花もそれに調和する花器と花材を選択する。幽雅な中に美しい色彩をもついけ花°勿論、洋花は調和しない。花形も派手でなく静かな感じに入れる様にする。山の実もの、山菊、大輪菊つばき、山百合、かきつばた、花菖蒲、ぽたんの様な和趣の花が調和する。風雅な趣味瓶花(専渓画)2作R青絣椿(せいひつばき)は11月より咲きはじめ、春まで咲きつづく大輪重弁の美しい椿である。緑のたつぶりとした葉、紅白に染めわけた花びらは、つばきの中でも豪華な美しさを持つている。さびた褐色のたけの高い手附籠に軽く挿してある。手が低いので上へは登らない様に、垂れた枝を長い籠に調和させて下方へさげてある。壺でも籠でも背の高い花器は、花を枝垂れさせて、花器に重ねる様にして活けると調子よく、バランスが作れる。この花器は一種挿がよい。新鮮な美しい材料を選んで、形をよく選んでから、手軽く留める様にして活ける。畳床には薄板をしき、地板床にはそのまま飾りつける。A ⑧かりんの実付の枝2本に紅、淡紅の菊をとり合せて、花器は尊(そん)という形の高い花瓶である。初冬の頃、実は淡黄に色づき残りの葉が少しついた枝を選んで、枝振りの面白いものを前傾の花型に活けた。上方へのびた枝、前方へかぶる様に出た変化のある枝。花型は、左勝手の基本型に入っているが、ゆるやかな自然趣味の瓶花である。かりんの枝を通して、中菊の色をまじえて4本、のびやかに入っている。床の間に黒色の塗板い叉は自然木の地板をしいて飾る。花器にはいろいろな系統のものがある。古美術と考えられる古い様式の花瓶。現代美術の新しい形式の花瓶。質はそんなによくなくとも形と色の新しく花うつりのよい花瓶゜家庭にある花器のうちに古い時代の形をもつ花瓶。そんな花器には花材の選び方もそれに調和する感じのものを選び、活け方も花器を引き立てる様な、落着のある形に活けたいものである。花器が古いのに花材や花形は現代調ではしつくりしない。風雅な趣味の中にしつかりとした技術のある瓶花を活けることである。古風な花器B (白玉つばき)シラタマ10月の下旬から花屋で見かけられる。白花でっぽみが玉の様にまるい形をしているので白玉椿といいます。花の形の長細い白椿は白玉つばきとはいいません。(神楽つばき)カグ白赤の色の交ったふ入りの花弁が重なりあって、獅子咲となった八重つばきで、11月頃より春4月頃まで咲きます。一名、ダイカグラともいいます。(青緋つばき)セイヒ神楽とよく似ているので混同されやすいが、神楽にくらべて花弁がやや少く、11月頃より4月頃まで咲く。かぐらとせいひは素人目には一緒にみられやすいが、その花の終る頃、かぐらは紫色をおびてしおれ、せいひは赤のままでしおれる。(妙蓮寺)ミョウレンヂ単弁の濃紅色の花。大輪咲で美しい花色をしています。11月より咲き3月が摘開の季節。秋より年末にかけて花屋の店頭でよく見られます。(有楽つばき)ウラク俗に花屋ワビスケと呼ばれています。淡紅の長いっぽみの花で、葉も細長くとがつている。12月末の花屋でよく見られます。咲くとぽろりとは晩秋より冬へかけて咲く、一般的なつばきです。落ちやすい。以上初冬のつばき(再録)6 ラ•••

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