テキスト1965
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ダリアは6月を中心に咲く夏咲きと、10月を中心に咲く秋咲きとがある。今年は10月の台風で農圏のダリアの茎が殆ど倒れて、美しい大輪の花を見ることもできず、そのままシーズンを終った。ダリアは随分、品種が多い。いけ花材料に使う場合には花の変化のあるもの、色の変ったものを特に選んで活けたいのだが、今年のダリアはこの写真の様に平凡な花しか見られなかった。一尺ダリアといわれる様な大輪咲、単弁の黒色ダリアなど中々面白い感じのいけ花が作れる。R。ハインアッ。フルの葉つぎの2本、淡い紫紅色のダリア5本の瓶花である。゜ハインアッ。フルは白緑の茎と葉に実は少し朱色を帯びて色感が美しい。花器は黒叫色の広口の花瓶゜この瓶花を活けるとき、モダンな感じのでるように考えて、花器花材を選び、また花型も調子を変えてみようと思った。十字にクロスする形、こんなに考えて花を組み合せ配列して行ったが、でぎ上つてみると、材料の性質と調和して新鮮な感じがしている。花器の形もその気分に融けあっている様に思う。全体の配合が統一されている関係であろう。ダリアを横に一例に並べて見たA が、こんな単純な形のとり方は、普通のいけ花に複雑な形が多いだけに、案外、新鮮な感じをうけるものである。上下に花を縦列させるのも面白いだろう。しかし、新しいモダンな感覚を作りだすには、その様な性質をもつ材料を得ることが必要である。Rダリアを濫和な日本趣味に調和させてみようと思った投入花である。ススキ、ホトトギス、ポンポンダリアの3種で、白竹の手つぎ籠に活けた。この様な籠は手の中へ花を低く入れてもよいし、また写真の様に高く出してもよい。材料の形や感じの活きる様に考えて定める。9月の下旬の花で、ダリアは白と紅が交つている。ホトトギスとダリアの緑の葉の中にダリアの花色が美しい投入花だが写真では感じが出ていない。少し緑をおびた籠はすがすがしい感じで、花を引立てている。このいけ花は平凡な感じの花だが、この花器に15センチもある大輪咲ダリアを2輪ほど入れ、低く花を安定させてモンステラの小莱を2枚ほど添える|ーといった投入花は、面白い形になると思う。また反対に、サンキライにシングル咲きのダリア三、四本の花。これもよい調和であろう。この籠入の花は初級の人にわかりやすい形に活けてみた。B ダリアをいける

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