テキスト1965
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この二つの盛花は12月中旬、五、六日をへだてて、偶然にも同じ取合せの花を活けたもの。写真ができてから同じ材料だな、と気づいた訳です。と、いうことは、私が好ぎな花かも知れないが、また大変よい取合せということでもある。この二つの写真を並べて見ると、アイリスを上に使い、菊を下に挿してあるのも同意だし、アイリスの配列もよく似ている。ここで面白いことは花器によって花型を少し変えていることである。1の花器は薄墨色に淡い黄色が交つている陶器で、横長の水盤。この花器は軽やかな形なので、花型も横へ張らない様に立体調の静かな惑じに入っている。右方へ出したアイリスの一葉によって、全体がひろやかに見える。菊は紅菊で緑の葉が美しい。2の盛花は花器が褐色のたっぷりとしたもので、花型も派手やかに左右へ葉を多く入れて、対照的にひろがった花型を作り、花器との調和を考えている。菊は白大輪と濃赤中菊を二種入れ、これも派手な感じに挿してある。この二つの同じ材料の成皿花を見て、注意することは、花器が変れば活け方も変えることが大切ーーということである。アイリス菊の盛花(2作)2

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