テキスト1965
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し、0花材季節の瓶花キツネナス、麻の実黄色い実が群つてつくキツネナス(ホックスフエース、学名ゾラヌヌ)にまんさくの紅葉、渋い淡褐色の麻の実。この3種の瓶花である。花器は少し暗い白色の方形花瓶。花をさし添えずにこの3種で、かなり美しい色調が感じられる。軽やかなうちに静かな秋の情趣もあり、また、なんとなく明るさをもつ瓶花だと思マンサクう゜このホックスフエースという材料は、あまりよい趣味の花材ではない。下手ものの面白さはあるのだが、普通の瓶花や盛花には好ましい材料とは思われないが、奇趣を見るという点で用い所によっては、案外な役目を果す。この瓶花の場合もそんな意味で一応、場所を得ているのではないだろうか。また、この場合、レモンェローの色惑が全体に新鮮な感じを与えている。私の嫌いな材料を活けて予想以上の効果を出すことのできた儲けもののお花といえる。専渓こけ松自分が嫌いでも人は好ぎ、という場合が沢山あるのだから、この場合、押しつける様で相済まない次第であるが、とにかく、いささかの理由はあるわけなので、御参考までに書いてみる。以下は私の嫌いな花である。松。新年の花によく使われるが嫌に形式ばった姿が面白くない、日光の社殿を見る様な惑じで風雅な趣がない。それを更に普通の雄松にこけを糊づけしたのがある。いよいよ以つて醜゜白木蓮の花雅趣があるが、白く咲いた花は気品に乏しい。こぶしの花も同じ、実の頃は更に姿が悪い。大山蓬全然、意味のない花プーパリヂヤ形も色も平凡。岩でまり外見の美しさも、風雅な味わいもない花。さつき類山つつじ、たまや、ひらど、きりしまなどは好ましいが低くかたまったさつきは面白味がない。洋種の大輪咲は美しし、0みつまたたは風雅だが、花屋で加工した漂白製品は嫌な材料。石竹セキチク、トウナデシいやな花材海辺の白いこけつぎ堅いっぽみのうちは自然のままのみつま味でもある。専渓ひめがま花コの類。園芸品種のものは平凡゜リークポール悪臭のある花材。悪趣味の代表。ユーカリ樹これも臭い。姿はよいのに悪臭°興ざめのする花材。五色とうがらし白黄紫紅の色の交ったとうがらし。こんな材料を活ける人の気がしれない。熊鷹蘭の葉ふ入りの葉。水揚が悪くて個性の乏しい材料。屋で見る姫補。新鮮なよいものを見たことがない。自然の群落を見るべし。花屋不勉強。だんぎくこれも個性の花、香りはよいが活けて面白くなし、0トルコ桔梗私にとつては嫌な材料だが、工夫すれば面白い面もある。染色カーネーション何がために白いカーネーションを水色に染めるのか、解釈に苦しむ。パンパスの染色これも同様。悪趣味の組立ハウス。白なんてん庭で見るのがよい。黄せんりよせんりようは赤がよ色はぽたん低俗、はぽたんの中に紫黒色の「踊りはぽたん」というのがある。色もよく姿も面白い。以上、思いつくままに書いてみたが、まだまだあるに違いない。これは好き嫌いの問題ではなくて、活けても効果の上らない材料、という意乏しい毎月1回発行桑原専慶流No. 35 編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1965年11月発行いけばな

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