テキスト1965
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虫tsL干m茂山千五郎師家狂言の宗家茂山先生のお宅は京都御所の近く、石薬師今出川南にある。例年八月の中旬に狂言に関する古書、狂言面の虫十しをされる。床の間から広いお座敷のまん中まで、百点近い狂言の面や、古書が並べられて実に見事である。室町、桃山、江戸時代から近代に至るまでの能狂言の面が、多くの種類をまじえて、国宝級の名作を拝見することができた。一っ―つ表情の違った実に見事な名品をみると、伝統の杓さをしみじみと感じる。床に谷崎潤一郎氏筆「狂言細雪の詞章」の軸が掛けられてあった。夏も峠を越した8月の午後、御所の樹立から伝つてくる蝉の声をききっA伝来の名品を拝見する。家元桑原富春軒では八月初旬、伝書の虫千をする。江戸初期より明治初年に至るまでの家元伝統の古書、巻ものの類、懸軸など、当流関係の書類百数十点を並べて曝書することになっている。当流立花の本、生花伝書、江戸時代の免状、習約書、本願寺よりの感謝状など、種類が中々多い。写図本、木版画の類も多く古い時代の当流の花型など詳細に記録されたものもある。ことに西本願寺関係のものが数多くある。この写真に見える横懸の軸は、桑原社中の寺院の方々が本願寺へ御花献上に対する感謝状で、江戸末期のものである。桑原富春軒花道狂戸

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