テキスト1965
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⑤この花は昨年あたりから花屋に出はじめたいけ花材料のニューフェース。八月の一ばん岩い頃に一週間も大丈夫という水揚のよい、強い草花である。名は(。ハインアッ。フル南アフリカ原産の花である。白と緑と褐色が交った花が筒状にならんで、いかにも南国の花という感じがする。この盛花は8月中旬に活けたが、この季節の花としては、日持ちもよいしさつばりとした感じがして、好ましい材料である。葉は写真のまん中に見える様に、ハマユウの莱によく似ており、しつかりとして水揚もよい。左方にギボウシの菓を2枚そえて、全体が緑と白と淡い褐色の盛花である。それほど変った形の盛花ではないが、重い感じの花材に安定惑のある花器、この調和を考えて作った盗化。それと新しい花材の正しい名を知つてもらうために作った盛花でもある。(ユリ科、和名ホシオモト)・フラワー)といつて、Rこの水盤は前後が10センチ、横が的センチ程の細長い陶器の花器である。軽やかな惑じの水盤で色は涙い緑色。花材は洋種の蘭(紫赤色)に山のシダの配合で軽快な感じと色彩の美しい感花である。蘭はデンドロビューム(略してデンファーレでもよい)といい、ォーストラリア原産の花である。花屋ではデンファーレといつて売つている。この2種の配合は、色彩的には美しいし、軽やかな形の感じもよく調和しているが、山の材料と洋蘭ではあまりにもかけ離れて、その辺が気になる。八瀬大原のおばさんがホテルでお食事をしている様な惑じがして、どうかと思うのだが撮影の八月の末の日、材料がなかったのでとりあえず花型をお見せするために作った盛花である。もっとびつたりとした材料を考えて、こんな花型を作ったらよいと思う残念の作品である。・フアレノブシス5 。ハインアップルフラワーギボウシデンファーレシダ6 おけいこに使う花を選ぶのは中々むづかしい。おけいこだからどんな花でもよいと考えるのは大変な誤りで、そのたびごとに材料と色調と感じをしつかりと理解することになるのだから、そのたびごとに充分考えて材料を選ぶ様にするのがよい。花屋まかせにするのはいけない。必ず自分で選択することが大切で、自分の花だけ―つ買う人はかなり自由に好きな花材を選ぶことができるはずである。おけいこの人全員の30人分50人分となると、中々むづかしくなって思う様な材料が揃いにくいものであるが、一瓶だけ買う場合はよい花が自由に選べる。花屋では商売だから、凡そ主材と副材のきまり切った様なものをすすめるのが普通である。花屋さんにすすめられて買う様では、その人のいけ花もあまり上手とはいえない0自分の考える材料を特に選んで買う様にならないと、個性のあるよいお花は作れないことになる。花屋では一般的に寸法の長い木ものに短い草花をつけることが、常識の様になっている。これがすでにおかしい°勿論、これも悪くはないのだが、これが一般的な取合せの様に考えられたのでは、活ける方は一向に面白くない。例えば、まんさく、おけいこ花4 • I ',' R R

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