テキスト1965
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まつ赤な色の花ブーバリチャは、夏の花である°混室づくりのものがこの頃みられる。写真の盛花は白い一文字菊、ブーバリヂヤ、らんの三種の盛花である。らんはン」という種類で、これは根ごと一束になっているのをよく水洗いして、美しい部分を選んで使う。らんの葉は、山の春蘭その他のものでも同じだが、数多く用いないで一葉一葉を見つめる様な気持で、葉れる。この成皿花はブーバリヂヤの真、「カンスラの線を美しく使う様にする。一たばにくくつて挿すのはよくない。軽く用いるところに蘭の美しさが惑じら副、胴、菊の中間と前方低く留、らんは控と中問の右横へ長く流れる様な惑じでのびやかに挿した。ブーバリヂヤと菊の間から前方へ向けて聞の葉3枚ほど入れ、軽やかな花の浮きを作っている。花器は黒色の中に少し白を交えた色の陶器。黒ずんだ色の紅菊に単弁の白色寒菊の2種である。寒菊は普通は黄色だが、その他に白色紅色の寒菊がある。この写真のものは白寒菊(しろかんきく)という。この瓶花は12月中旬より1月早々へかけての花材である。二つとも饂床づくりの菊であって花曳莱も美しい。残花らしいほそぼそとした惑じが見えるが、上品な好みの配合であると思う。花器は青と紫色を交えた様な群青色で形は南欧風の水壺様式。花器の惑じが明るいのでこの瓶花が一層、新鮮に美しく見える。上品で明るい調子は材料と花器の選び方に依つて2 生れてくる。花型は温和な形に入っている。菊の上品さを見るためには、この様な静かな花型が好ましい。寒菊は副から胴へかけて入れ、紅菊は真より中問、留へ入れている。この瓶花で注意することは、空間を美しく作ることで、写真で見る様に真(紅菊)と副(寒菊)との問。副と胴の間など、全く空間の作り方によって花型ができていることに注意してほしい。他の材料でも単調な形のものほど、花型の中の空間の作り方によって、よき花型にもなり、平凡な花型にもなるものである。のどかに見え、しかもいけばなの引きしまった形、それが必要である。2 1.2. ー紅菊白寒菊ブーバリヂヤーー文字菊ラソ

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