テキスト1965
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かごの花器が欲しいので買いに行こうと思っても、さてどこへ行ったらよいものやらわからない。それほど籠を売る店は少い°食器として料理屋向きの小さい籠の類はかなり出るらしいが、花器としての籠はほとんど少いし、作る人も段々と少くなるらしい。京都で籠を売る家が約20軒。その中で自分で作る人は五、六人だという話だが、私の知人としても早川、森田、小菅氏など、まことに謬々たるものである。籠作りは中々技巧のいるもので、的当な年数の弟子奉公をせなければ一人前になれないし、一っ―つ丹念に作らなければならないこの仕事は、忙しい今日には向かない仕事かも知れない。同じ美術品実用品にしても陶器とは一層、製作の上にも売る上にもむづかしい溢路があるのであろう。これを使う方からいつても.籠はいたみやすいし、ける程度で、陶器の様にいつも普通に使える花器ではない。家庭にある籠花入れも少いだろうし、いわば普遍的でなく特別な趣味の花器という様な感じになった。籠の花器が大変はやった以前もあったが、今はほとんど少くなり、私達が活ける機会も段々と少くなった様である。籠のお話夏秋の頃にふと活籠には伝統的な定った形が多くある。「びく」「末広」「宗全」「づきん籠」「牡丹籠」「つのかご」「やな」「みのかご」「置かご」「あみのこし」「てんぺつ」「寿老」「きんちゃく」などの絵図が、花道の古書に見られ、その他にも随分種類の多いものである。対ページの(ユキャナギ、オニュリ)を活けた籠は末広籠といい、これと同じ形で茶道によく使われる大型の末広籠もある。(ガーベラ、白ギク)を活けたのは唐人笠(トウジンガサ)といい、これは小型だが中々風雅な趣味の籠である。この様に種類が多く、それぞれに形や編み方が違うから作る人も中々大変なことであろう。さて、これに花を活ける場合、なにより必要なことは籠の趣味に調和する花を選ぶことである。網目のしつかりとした重厚な惑じの籠には、大ぶりの花を活けることができるが、ほとんどの籠は軽やかな花を活ける。ことに日本趣味の花がよく調和する。例えばすすき、女郎花、きぎよう、ささゆり、小おにゆり、ためともゆり、ひめゆり、きく、山ぎく、あじさい、夕霧草の様な自然趣味の草花の類。また洋花でも、カラジューム、ダリア、カーネーション、リーガルリリー、フリーヂヤ、の様な軽やかな花材がよく調和する。ガラス器にガーベラ、ヒトデカヅラの2種の盛花を活けた°透明ガラスの花器であるから花材の足もとの美しいものを選んだ°剣山もよく見えるので留め方の技巧も美しく作らねばならない。ガーベラは濃い紫赤の大輪咲。ヒトデカズラを左右と後方に3枚さし、中央にガーベラ6本を前へ傾け、長短をつけて活けた。左右対照の花ガラス器の花型である。ガーベラの茎の曲線を変化のある様に組み合せて、花の配列とすきまを美しく見える様に注意してある。夏の花器としてガラス器は清爽な感じがしてよいものだが、花材もそれにびったりする様なすつきりとしたものを選択することである。濃厚な色のガラス器は趣味も悪いし、花を引きたてる花器ではない。透明ガラスか淡彩ガラス器が好ましい。キーこ。合唱京都市民合唱団詩朗読くる即席短歌、俳句花桑原専渓氏京都市寺町慮山寺は「紫式部邸宅跡」「桑原富春軒塔」のある京都慮山寺が、財団法人古代学協会(望月信成理事長)の考証で、紫式部の住んだ、父藤原為時の邸宅が同寺の境内にあったことがつきとめられた。同協会は文部省、朝日新聞などの計画で「紫式部顕彰事業」を計画、佐藤首相、谷崎潤一郎氏らの協袈を得て、慮山寺境内に顕彰碑を建立されることとなった。また周囲の庭を平安朝風の庭に模様がえし、「式部邸宅跡」として保存されるとのことである。私達、当流関係者は家元記念塔参れ拝のたびごとに、この由緒ある「紫式部邸趾」を訪ることになるわけで、まことに深い意義をもつこととなっ文団懇「懇親パーテイー」京都市文化団体懇話会が主催する「新涼懇親。ハーテイー」が9月11日(午後6時より)京都東山都ホテルにおいてひらかれる。その。フログラムの中に桑原専渓企画の「。フールの花」というのがある。参加希望者は家元宛お申込み下さい。(五00円)み座お題話片岡仁左衛門氏文団懇踊楳茂都陸平氏社中音楽演奏沢田秀雄氏ハls楽団25

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