テキスト1965
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ばらこの。ヘージと対ページの瓶花四つは和室向きのお花です。花器も花材もなるべく普通の感じのものを選んで活けてみました。活けたのは七月二十二日、ユリもバラも盛季をすぎていますが、あっさりとした夏らしい家庭の花というところを考えて、作りました。花器もあまり高級でないもの、花材も手近かに花屋で買えるものを選びました。活け方も簡単に作れる様な、そして出来上りの美しい花を選んだつもりです。①バラもすでに終り方で弱々しい材料だが、これは花も葉もしつかりとして中々美しい。ニューサイラン作った。花器は浅い黄色のムギワラ加工の手提籠で装飾の少いさつ。はりとした形の籠である。まん中に手があるので左右のニケ所に花を入れる形が調和よく、右の方を分量多く、左方を軽くさした。籠の中ヘガラスの小鉢を入れて剣山で留めてある。ニューサイランはよく使う材料だが、これはいつの場合も前向きに直立させて挿すことにすると美しく見える。籠の内部が見える様に、花葉をすかせて活けるのがよい。を3本、これに加えて籠入の投入を③あみ目にまだ緑色の残っている新鮮な感じの籠である。こんな籠はあまり上等の品よりも新しく、きれいなものが見た目もすがすがしいし、季節的にも好ましい花器といえる。はばの狭い楕円型で手の形もゆったりとして、花も活けやすい。初夏より晩秋までに適当な籠だが、(バラ、ラン)(ナナカマド、キキョウ)(タメトモユリ)(ススキ、ダリア)などよい調和であろう。この写真の松は少し重い感じがするが、緑の若芽が美しく新鮮な感じなので、これにテッポウユリの開花1本、姫ユリの開花2本を入れて、色彩的にも美しい瓶花を作った。中筒に十文字くばりで留めてある。2 切り花はそれぞれもつ時間がおよそきまつているものです。草花だとよくもつて5日間。早いものは半日でしおれるものがあります。折角、活けたのですから永くもっことを願うのは、誰れしも同じ思いですが、花は新鮮であればこそ楽しめる訳で、悪くなった花をいつまでも置いておくのは感心しません°殊に夏の花は永くもたないと、大体きまつているのですから、なるべく手軽にとり替える様にしたいものです。七月下旬から八月へかけてよくもつ花材を考えてみると、ヒオオギスカシュリリンドウキキョウヒメユリグラジオラステッセンカノコユリテッポウユリルリアザミオミナェシシラボシカユウ以上の様な花が3日から5日程度もつ材料です。山の木もの実ものは長もちしますが、草花で夏らしいあつさりした花ほど、日持ちが悪いようです。暑い折柄ですから夏らしい軽やかな花を入れたいのですが、こんな種類のものは長もちしません。例えば、朝顔、ひる顔、すすき、ダリア、カーネーション、はまおぎ、せんのう、がんび、むくげ、の様な夏のいけばなはどのくらいもつかキク各種ジニア-とゆり床の間に調和のよい瓶花四つ6

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