テキスト1965
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R床の問の壁の中央に胴釘(どうくぎ)又は中釘(なかくぎ)という懸け釘がある。これに花器をかけて花を活ける。これを向うがけのかけ花という。丁度、かけ軸の裏にあたる場所に釘があるので、この場合はかけ軸をかけずに、床の間にはこの向うがけの花だけが装飾となる訳である。この場合、花型は左右に枝葉を出し、また前方へ出る様に活ける。ことに高い場所なので下方へ下る様な材料が調和がよいが、必ずしも下らなくとも、つばき、寒牡丹、ききよう、秋海棠の様に上方又は横斜の花を活けても調和する。大体は左右に裏表のない対照型がよく似合い、一方へなびかせて活けると重心が片より花器が傾く。したがつて向うがけの花は原則として、前方へ出る花型が普通となっている。向うがけの花R食卓⑧ 中央の花は水盤に低く入れて、軽やかな美しい花を入れる様にするのがよい。周囲より見るから裏面のない様に四方へ向けて花葉を出す花型がよい。あまり盛沢山にしないで、清楚な感じに仕上げるのが家庭の花として好ましい。つまり小品程度のものがよいという訳である。木の花よりも草花がよく、ホテルの食卓花の様に定った型にならない方が好ましく、あっさりと清潔な感じに仕上げたい。の中央に飾った小品盛花。cこれは洋室の窓ぎわに飾った盛花である。グラジオラスは真赤な大輪咲3本0ぎつ先をとり去つて開花だけを集めて挿した。百合はリーガルリリーを4本、左右と前へ挿してこれも対照型の花形である。窓の向うには庭のシュロの葉がひろがつて一。はい°緑の葉の背景を作つており、グラジオラスの濃い赤色が重なって美しいのだが、この写真では色彩の効果を見てもらえないのが残念である。とに角、こんな場所にはもちのよい、強い色の花がよい。6 食卓の花ナルコユリカーネーションc 窓の花@ グラジオラスリーガルリリーサンキライキキヨウナナカマドその場所・その花

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