テキスト1965
39/82

Rこれは矢筈(ヤハズ)のカヤともいい、段ススキともいわれる。花が出て、ススキということになり、夏の葉だけのうちは(カヤ)という。その他に緑一色のアオガヤ、立て縞のあるシマガヤなどがある。またカルカヤの中に雄カルカヤ、雌カルカヤの2種があつて中々種類が多い。夏より晩秋までススキに他の草花をとり合せて活けることが多く、尾花だけ束ねて活けることもある。この写真は(ヤハズのカヤ)に岩戸百合を配合した盛花である。スカシュリのうちに淡いオレンジ色のおそ咲きの百合が、この9月に入ると尾(イワドユリ)である。花器はお台所用品の野菜籠を使って、ビニールの箱を中筒にして姻山を入れ留めてある。カヤを軽く左右にひろげて空間を美しく作り、濃緑の百合の葉は中心をしつかりおさえて、色彩的にも美しい盛花である。また材料をかえて低い花型に活けるのも変った趣きがある。キキョウ、ヒルガオ、シダなどを取り合せて10センチ程度に平らに活けるのも面白い調子になるだろう。京都の河原町四条に「やまと民芸」という店がある。民芸調の陶器、籠の類、手染めの布地などをいろいろとり揃えて売つているのだが、中々繁昌している。河原町へ出たとき立ち寄つて、面白いものをさがすのだが`この野菜籠は数日前に買つてきて、早速テキストの花を入れてみた(四五0円)左上のジョッキは黒色ガラス瓶で、これもそのとき一緒の買いものである。高さ22センチほどのたつぶりとした荒い感じに釦重な味わいがある(五00円)フトイ8⑧太関(ふとい)は水盤に活けるのが常識の様になっている。ぎまった形に活けるということは、そこから新しいものが生れる筈がなく、平凡な作品となることは当然である。形を作っている。ふといをジョッキに活けることは、少し変った行き方だが、さて作ってみると案外面白い惑じを出すことが出来た。この頃の花器は新しそうなものでも上方へ広がる形のもの白キキヨウ7 が多い。このジョッキは下方へ広がりのある形でなんとなく新鮮な惑じのする形である。な活け方がこれに調和する花花材のふといを上ひろがりに挿して、下の花器と対照的なふといと白キキョウは夏の草花の中でも、あっさりとした配合である。まつ黒のガラスジョッキに無造作に入れたこの花は、実際は中々むづかしい瓶花で、美しく揃えて整理するほど調子が悪くなる。のんびりと形を気にしない様形である。花器と花材の性質をよくのみ込んで、活けることの大切な花といえる。ジョッキの中に剣山を入れ、ふといとキキョウの一部を留めた。その他は丁字留をかけて留めてある。居間の花として、その他の気軽な場所に飾るのがよい。5 花と器ヤハズスカシュリ

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る