テキスト1965
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横浜に元町という通りがあ、;tぶ;'.ヽ,'.奮「ヽ:`ー, 5 ユウギリソウ4 花花区£ ⑥ 風雅にやさしい名の花がかずかずある。ことに山野に野生する夏の草花には,詩的な名のある花がいろいろある。宵待草,花いかだ,熊谷草,かるかや,蛍袋,の様にその花の姿と名がびつたりとして深い情緒を感じるものが多い。この写真の花は(夕霧草)。うす紫の小さい花が集つて,ぽうとした夕霧を象徴する様な幽玄な思いに打たれる花である。藤ばかまと同じ系統の高山植物だが,この頃,七月に入ると花屋のウインドウに夏を待ちかねた様に姿を見せる。このユウギリソウにカユウの晩花(おくれ咲き)のものを活えて,籠に活けた。初夏の夜を飾る花としてふさわしい花である。花形は立体の対照型で,中央の夕霧草は前方へ浮ぴ出ている。輪菊を涼えた瓶花である。花器は宇野仁松の陶器で色は沈んだ色の青色をしている。変つた形の花器なのだが,この花器どうも活けにくい。私の手もとに来てからすでに3年余りになり,その間に3回ほどこの花器に活けてみたが,どの場合も満足した花が入つたことがない。今日のリアトリスと白菊もあまりよい花とも思えないし,どうも気に入らない。カスミ草にダリアの様な材料を低くまる<盛る様な形に活けたならば,或はよいのではないかと思う。花器の形が悪いのか,そのバランスのとり方が悪いのかと思つてもみるが,どうもそうでもないらしいo要するに活け方に今一段の工夫がいるのであろう。花器の中へ砂を入れて,底を平にして剣山を入れて留めてある。R 赤紫のリアトリスに白の大る。三間巾の道路が六七町もっづいている商店街なのだが,山手の外人住宅につづいている関係からか,どの店もどの店も外人の好みそうな商品をならベて,店構えも軒の深いエキゾチツクな感覚をたたえているo日本,中国の古美術品から日用の小道具類,簡単な衣類の店からバター,チーズから冷凍野菜まで。とにかく,ここへ来れば生活のものがすつかり揃う街である。外人墓地も近いし,港の見える丘もすぐそこにある。私は横浜へ行くと,きつとこの街をぶらつくことにしている。花器になりそうなものがないかと,しきりに眼をひからせる。この籠も最近ここで買つたのだが,香港より輸入の籐製の籠でざんぐりとして面白い。(1000円)京都の五条坂に宇野仁松氏の陶房がある°仕事場は泉涌寺にあつて,ここは作品の展示室のある家であるo昔はこの家が料亭であって裏庭に蓮の咲く大きい池があったo清水六兵衛氏は東隣り。座敷に作品の展示場があって,ゆつくり薄茶など頂いて鑑賞する仕組みになつている。仁松氏はもつばら仕事場の方が忙しいらしく,殆ど会うことが少い。妹さんの(メリーさん)が殆どとり仕切つて,来客の応接から作品の値段まで,中々の外交家である。なぜメリーさんというのか,一度たずねてみたいと思っているのだが,とにかく商オにすぐれた御婦人だと,いつも感心している。ここの陳列場に座つていると欲しい花器が一ぱい。値段は最低1万円から10万円程度まで,このメリーさんがすらすらと教えてくれる。花器花器t'‘ ョ6 リアトリス!El 〒`・ヽ白ギクカユウ, ... 直蘊冒,.'f\, 尋決・

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