テキスト1965
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窓ヽ素子の2 シクラメンいよいよ夏になった。月へかけて、自然の草木もすつかり夏姿に衣かえをして、私達のいけ花に使う材料も完全に夏の花にかわって来た。いけばなにも夏らしい作品が多くなってくるのだが、この頃の代表的な花はまずユリの類。テッポゥュリ、スカシュリ、洋種のリーガルリリー、ヒメユリなど栽培のユリの花。アマリリス、山のササユリもすでに終った。七月に入ると山に咲くタメトモユリ、ウバユリ、オニュリなどが咲き出す。園芸栽培の丸葉のタメトモユリは葉に光沢があって大輪咲。ことに美しいcまた、キキョウ、アジサイ、ナデシコ、オミナェシ、アカバンサス、ガーベラ、グラジオラス、ダリア、シラボシカユウなど夏の花が一せいに咲き出す。日ごとに暑気をましてくるこのごろは、にぎやかな花の美しさよりも、さつばりとした緑の木の葉、草の葉を多く使って、出来上りのすがすがしい花をつくりたいものである。ナッハゼ、ヤマナシ、ユキヤナギ、ドウダン、サンキライ、ミヅキ、青葉のカエデの様な山木の緑の葉の中木の葉・草の葉をいける(朝日新聞より)6月から7に、白菊、キキョウ、アジサイ、シラボシカユウ、ユリの類などあっさりとした材料を加えると、季節向きのみずみずしい花が作れる。花器は陶器の黒色、白色、の花瓶などデザインの新鮮なものを使いたい。ガラス花瓶、白竹の籠なども季節的に好ましい。写真の瓶花は木の葉、草の葉だけで作ったものだが、これから盛夏へかけてこんないけばなも好ましい。花材はヤマナシ(白緑)ショウプの葉(深緑)カあい絵ラジュームの葉の白と緑のしま模様の美しいものをとり合せて、花を用いない「葉もの3種」の瓶花である。普通のいけばなは殆ど花を添えるから、時としてこんな葉だけのいけ花もさつばりとしてよい。緑の葉の中に新鮮な感じと、美しい明るい色彩をもつ花であること。とり合せる木の葉、草の葉のそれぞれの形に変化のあるものを選ぶこと。写真の花器は淡褐色の陶器の花瓶で、新しいデザインのものである。6 (専渓)•. ベ.., '. :. ・-・・・・・・',, ..... , 作品・ムギいけばなは作品の中に自分の心をのべようとする意欲から出発するものです。そして,その作家の個性やそのあらわし方の手段によつて,作品が生れて来ます。柔い花材を使つてもするどくもなり,外見が強い様に見える材料も,そのあらわし方によつてはあまくもなり,弱くもなります。自分ののべようとする心がはつきり,定つておると作品はしつかりと,強い感じを出し得るもので,よい作品を作ろうとする場合は,まず最初のこころがまえがなにより大切だということとなります。この瓶花は朝日新聞に掲載された,私の作品の中の一つですが,私の作品には柔軟な静けさよりも.はつきりとした強いもの,そんな花が多いとよく批評をうけます。ゴム

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