テキスト1965
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留主型(とめしゅけい)と対照型(たいしようけい)とはよく似た花型であるが、その考え方が少し違う。留主型(上の写真)は真、副、胴、中問などが普通の斜体の状態で、留だけが長く出る形であり、対照型は左右へ同じ様な長さに枝葉や花茎の出る(左右対照的に)形である。ここに掲げた写真は、ひなげしの盛花2作。上は留主型、下は対照型である。上の写真はひなげしのレンヂ、淡紅、淡黄の色が配合されている。この盛花は留主型での造形であるが、あまり堅くない花型で、左方の真副、中問がほとんど同じ高さに花を並べ、胴はしつかり中央の前へ出ており、留は思いきり長く右方へ直線を引いて、ひろびろとした形を作っている。)のひなげしの花は、三色まじつて一種挿で、オいるので一種でも十分美しい。副材をつける必要がない。特にこの花型を活けるときに注意することは、形の堅くならない様に、真副胴控、中間の主体の部を柔い感じに作ることである。型にはまった様な調子にならない様に、楽な感じに仕上げるのがよい。なを、この盛花をみると真副、中間などの花が上部に集つて花が同じ高さに揃つている。こんなに花の高さを同じ程度に作ると、よい形になる。ひなげし(ポビー)は細い茎の軽やかな曲線に特徴のある花である。洋花でありながら日本種の草花とも調和するしずけさをもつている。下の写真はオレンヂ色のひなげし9本に浅みどりの草花のバイモを5本あしらった盛花である。バイモは百合科の山草で(普通は園芸栽培)日本種の風雅にやさしい花で、茶席の花として賞美される。留主型R この弱々しい二種の草花を配合して左右に出る形の対照型を作った。やさしい感じの花だが花型はのびやかに軽くさばいて、流暢な感じに入れる様に注意する。盛花でも瓶花で材料を配合するとき、日本種と洋種の花を取合すことが多いが、洋種とか日本種とかを考える前に、その材料がどんな感じをもつているか、洋花であっても静かな味わいのものもあるし、日本種の花材と合せてよく調和するものがある。その材料のもつ形、色調、感じから来るものだが、それをよく見わけて配合するのがよい。このポピーとバイモは全然、別の趣味の様に思えるのに、軽やかな味わいが一致して、新しい調和をつくり出している。花器の黒色水盤とことに配色もよい。明るくしずかな感じの盛花といえる。バイモ(貝母)は5月に咲く百合科の花です。3 対照型(ヒナゲ、ン.バイモ)と(ヒナゲ、ン一種)R

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