テキスト1965
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ばらを5本、器に活けた。洋風の花瓶なので花型も左右へひろがった対照型に作った。淡い黄に紅を交えた花と、紫がかった紅色の花が美しい。花壇から切りとつて間もなく活けた新鮮な材料であるから、花の色も濃い緑の葉もつやつやとして、鮮やかな美しさを見せている。黒褐色の腰高の盛花たが、これで形の上に変化を加えるばらだけでは少し単調なので`これも庭のパランの小葉を切つて添えことがでぎた。対照型は左右のひろがりを対照的に作る形であるが、左右が同じ長さという意味ではなくて、その中に変化のある形である様に、右と左の形が変つている様に考えて活けることが必要である。材器花花シラボシカユウの葉白菊洋間の棚に飾ると一ばん調和のよい盛花なのだが、美しい花の中にどこか引きしまりのある味わいや形。また配合にも、このばらんを加えた様な渋味のあることも必要な考え方である。ばらにモンステラの葉、ばらにカラジュームの葉を赤える配合もこれと同じ意味になるが、美しい花の中へ少し調子の変った葉ものを加えると、意匠のよい盛花となる。大葉の材料に草花をそえるギボウシの葉(浅緑)キキョウホウの木の葉(浅緑)アサヒバラン(先白)小鬼百合こんな配合もよい。色の美しい緑の葉を選ぶことが大切で、重い感じの大葉はよくない。例えば(厚手のギボウシの葉、ビワの葉、大山連の葉、ツワブキの葉、ヤツデの古葉、シュロの葉)の様な材料は、なんとなく重い感じの材料であるから、夏季の花には感じがよくない。フエニックスやカラジュームの葉の様に軽やかで、色の浅い緑の葉が好ましい。浮々とした黄みどり葉で水揚のよい材料がよい。広葉の材料に小葉の副材(草花)をつけると、瓶花の場合も盛花の場合も調子のよい花ができる。白い浜荻(ハマオギ)の葉に女郎花など、これからの花として季節感の深い花材であろう。山百合京都市の文化団体一六0余を総合して結成されている、京都市文化団体懇話会が相互の親ぽくを探めるつどい文団懇フェスチバル」(京都市共催)が5月2日京都会館第2ホールで催された。入場者約一000名、補助イスが出る盛況であったが、その。フログラムの中に、茂山千五郎氏‘毛利葉枝氏、桑原専渓氏などによる創作的な舞台があった°舞台の進行の中にいけばなを活けて行くという、これまでにない新しい試みであっただけに注目された作品となった。京都新聞に次の様な批評が掲載された。「演目の中で(詩と舞)はくるみ座、毛利葉枝らの詩の朗読に合わせ、華道の桑原専渓が花を活け、舞踊が入るというユニークな試みが注目を浴びた」ーー5月7日lいけばな舞台にのぽる京都市文化団体フェスチバルこの作品は桑原専渓がかねての宿「いけばなの動きを舞台の上で」という試みを実現したもので、毛利菊枝氏の朗読「竹の花」「桐の花」「りんごの花」につれて、専渓氏がそれぞれ、いけばなのスタイルと演出をかえて挿花を舞台の上に展開した。また、琴、笛などの音楽によって、若柳吉君葉さん社中の舞踊と組み合せて彩りを飾り、最後に狂ー一口舞「爛華」に桑原専渓、水野彦治郎両氏が重厚な衣裳と鬼面をつけて、牡丹と菊の舞を演出、25分のプログラムを終了した。華道のこの試みは、珍らしい創作というだけではなく、いけばなをステージの上に、どんなに表現演出しを行くかという点に研究的な問題があって、今後、この分野にも華道の進出が考えられるのではないかと、そんな点に注目された次第である。2 -C..≪<; ..... ゞ9べ硲w.. . ... 奴や零w~. 望ばら(紅色・黄色)バラン褐色ガラス花瓶(花)と詩(うた)と舞(まい)竹の花毛利菊枝桑原専渓行本なをみ、桐の花石川阿弥子桑原専渓岡田好美初恋坂田螢子桑原専渓若柳由美葉風のたわむれ爛華桑原専渓水野彦治郎京都会館のステージから近藤利子若柳由美葉岡田好美

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