テキスト1965
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低い水盤を入れ姻山をかご(籠・篭)は竹で作ったもの、籐(とう)蘭(い)柳、藤づる、あけびのつる、針金、ビニール製のものなど種類が多い。用途も実用的な容器の類、趣味のいれもの、ことに花器としては、伝統的な古いものから今日のいけばなの籠まで、大変種類の多いものである。いけばなには、花器でない籠でも意匠的に面白い形のもの、上品な趣味もの、美しい感しのものなれば、たとえ台所用品であっても花器に使つてもよい。いわゆる民芸調の籠にはざんぐりとした味わい深いものがあるので、かえって花器として作られたものよりも花のうつりのよいものがある。もちろん色も自然の竹のままのものから、染色のもの、ビニール製品のラッカー仕上の強い色の籠、金色のハリガネ製の籠まで、いろいろあるので、それに調和した花材を選んで、椿や笹百合、寒菊、寒牡丹の渋い趣味の花から、カーネーション、スイトビー、フリーヂャの明るい軽やかな草花など、花器に調和するものを選んで活ける。籠には重い感じの花や、複雑な惑じの材料はうつりが悪い、あっさりとしたもの、軽やかな調子のものを選ぶことがなにより必要である。かごの花手つきかごにバラを活けた。この籠は籐(とう)で作った,がっちりとした籠で,香港より輸入の手提籠で,ちょっと買物かごといつた調子のかごである。花器に使つても面白いので,落し(中筒)に使つてバラを5本さしたが大変調子のよい盛花ができた。中央に手があるので,それを中心に左右に花を入れ,クリーム色を2本,少し紅色がかつた淡黄色の花を3本とりあわせたが,濃い緑の葉とともに美しい花になつたNo. 30 毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元“ ヽ,.いけばな1965年6月発行

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