テキスト1965
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(Cの作品について)これは立花の形式を新しい考案に依つて作り変えた作品。立花は伝統のある古いいけばなでありながら、これを洋室の装飾花に飾つても調和する、作品の力をもつているものである。しかし、この作品の様に立花の形式をとりながら、出来上ったものは、全然、異質の形に作り変えられてある、というのも面白い試みである。この作品は京都会館において催された「いけばな文化講演会」会場に展示した作品の一っだが、立花的な要素と現代の創作造形の結び合いを考えた風変りの作品である。花器と花の姿とが一体に作りなされており(連結されて)立花の伝統のバランスと枝の配置をあらわしている|ー新しい工夫に依る作品といえる。材料は松杉の枯木、シュロの実、シンビデューム、レの花、ゴムの葉などを適当の位置に配合してある。洋蘭、スミレなど明るい色彩の花が配合されているので、この作品はどつしりとした力の上に、美しい色調の作品であった。立花的な形式をもつ作品る。、そして、る。スミる。花道家の作る造形もずんずんと突つ込んで行くにつれて、造形の本質的な意識の中に入って行くことになり、やがていけばなの世界から離れて行くこととなる。いけばな的であることは勿論よいことである。しかし、必らずいけばな的であることを強いることは、新しい造形美術の創作に大きい疑問を投げかけることになここまで来ると、花道家の仕事の制約から完全に離れて、新しい基盤に立つ造形作家としての作品が始まることにな写真Dの作品は、最も進歩的な考案と技法に依る造形作品であって、フジイ大丸において催された「桑原完爾作品展」の中の一作である。武士の具足かっちゅうをアイデアとして作った作品であって色調は黒色調、竹片と石音を主材として、作られてあ創作いけばなを離れた(Dの作品について)の形を作ろうとしています。そして材料はサボテンやミゾバショウの自然の植物の生々しい感じと色彩の中に、なにか鋭い強さと変った感覚をもつ材料を添加して、この作品が普通のいけばな以上に、見る人の心を引きつける様な方法をとつて、こんな植物以外の材料を加えたのです。いけばなは植物だけで作るもの、という伝統的な考え方を離れて、形あるものはどんな材料で組み合せて面白い形、感覚、色調を作り出そうと考えている訳です。これを見る人は、いけばなは植物だけの造形だという考え方から、一歩をすすめて、形のあるものを組み合せること、或は彫刻すること、着色することも花道の領分の中へ入って来たのだ、と考えて見ると、解るのではないでしようか。Cの作品は古典的ないけばなの形式を改造し、材料も石膏などを使って、いけばな的な原型(花器も)を作って、これに草花をつけています、木と土と花で作った「いけばな的な装飾物」といえる訳です。作品より少し前進した作品といえます。Dの作品は花道の技法を使いながら、新しい着想と彫刻でもない技法で、これまでにない珍らしい新鮮な形を作り上げた、といえる訳です。これはいけばなから完全に離れた目で鑑賞することが必要ですし、伝統の形を基とした、現代的な最も新しい造型といえる作品です。A、Bの作品・D13 作品・C

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