テキスト1965
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種類がある。私達が花屋でよく見かけるのは(シルバーアカシャ)(柳葉のアカシャ)それにこの写真の(三角葉のアカシャ)の三種である。それぞれ原名があるが、私達は以上の通俗名で区別した方がわかりやすい。この瓶花はアカシャ(三角)ヘひろげて挿し、中央にラッパスイセンを3本入れ、前のすそもとと、中央の後方に花の咲いた銀葉のアカシャを(No.15)アカシャにもいろいろを左右入れた。花器は黄土色に黒色の装飾のある、一寸、変った形の花器で、アカシャの感じと調和すると考えてこれに活けた。ラッパスイセンは巳花なので、配色のために黄花のアカシャを加えた。左方の真と副、スイセンの葉を左前に出して胴、中間のスイセンの花は高く登してこれで浮き上りを見せた。右へ留を長く出して、この花型は対照型の形式である。平凡な普通の花である。(No.16)サンキライこれは立花(りつか)の新しい様式の作品である°普通の立花は形もきびしく、枝の配置も整然と約束が定つているのだが、この作品はその立花の形式をぐつと柔らげて、形も自由に、しかも花の配置も思うままに、現代的な感覚で、立花の形式をとりながら新しい解釈のもとに、創作をしているところに特徴がある。松のみきを前旱界にして、ストレチアの花を左右対照させて後方に直立させてあるのが形としても変つているし、色彩的にも効果のある方法である。サンキライを左右(ひかえとうけ流し)にのびやかに挿し、ことにそのみずぎわの前を横ぎつて右へのび、前の低い位置をまもつている。左方の控にモンステラの、これは思い切った大ぎい業を立面的に見せて、松の重みと対照させ、これは璽拭的に左右のバランスを保つのに役立つ配置である。みづぎわの松の太い直立線は花器のふちに片よって、この用い方で。全体のひろがりを、ここでしつかり押えている感じがする。水ぎわを花器の中央から立てないのも作者の工夫である。この作品は立花が現代の装飾花として生きる‘―つの方向を示している一本は作品といえる。4 よいぎり、あさぎりというのは、花畑や庭の花を朝に切るのが材料のためによいか、夕刻に切るがよいかという意味である。日中よりも朝夕に切るのがよいことは常識なのだがそれなら、朝と夕とはどちらがよいのかといわれると、あらためて考えることがいろいろ起つてくる。植物の吸水の盛んな朝夕は水揚のためによいのは云うまでもないが、朝切つて悪いもの、と考えて見ると`まず南天は葉の露でぬれた早朝はよくない。ぬれたものはまもなく葉がふるい落ちることが多い。紅梅や薄紅梅は朝露のあるうちは勢いよく水揚げており、花にふれると落ちやすく、梅は陽が登つて花首の少し柔かくなる頃に切ると安全だということになつている。切つてから新鮮な水につけるよりも、古くなれた水の方がよい、というものもあり、てり葉の南天などもこのたぐいである。私達のつかう生花材料の草花は、大部分が夕刻に花畑から切りとる、宵切りが多いとのことであるが、夕刻に切りとつて、その夜は充分水をのませて、よく水揚げしたものを市場へ持ち出す、というのが多いそうである。二、三本の花を庭で切りとる程度のことは、朝夕いずれでも問題にならない。ただ、雨露にぬれている様な花や葉ものは、日持ちの悪いこと朝切り、宵切り松ストレチアモンステラアカシャラッパスイセン10 16 立花15 花材

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