テキスト1965
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。ヘージの菊の瓶花と同じ花瓶であカユウの花3本葉1枚、菊2本の単純な感じの瓶化である。花器は2る。ヵュウの葉は水揚悪く使いにくいので花だけ使うのが普通の様になつている。一枚だけよい葉を添えて、菊も涙赤とオレンヂと1本``つつ入れた。私の花としては珍らしい材料の集め方なのだが、実際の作品は図案の様な惑じで美しい。写真となってみると、後方が少し淋しく、控に菊を1本入っている方がよい。(実際の花は色が強いのでこれでよかったのだが、色を引いて形だけの写真では、少し淋しい)葉を一枚だけつけるということは、習慣的になんとなくおかしい様3 に思うものだが、案外、変った感じの出るものである。殊にカユーの様によい葉の少いものは、こんなにしても活けられると云う―つの例である。しかし、これも今一枚、後方へ向けて入れると奥行が作れるし花がしつかりするだろう。カユーは6月の花材だが温室作りのものが、年末より春へかけて見られる。しつかりとした花は水揚もよいが、やはり冬のいけ花にはびつたりしない材料といえる。この様な手のある花器は、手をかくさない様に活ける。また、壺の釉(くすり)の変化のあるところをかくさない様に、つとめて壺の引き立つ様に活ける。4 こうじみかん、一文字菊を備前焼の壺に入れた。この花器は備前特有の褐色にかまがわりがあって、壺だが、彫刻は新しい図案であるのが珍らしい。みかんの木は枝振りのよくないものだが、そのうちのまとまりのよいものを選んで、葉を殆どとり去つて実の引き立つ様にして活けた。左前へ大きい枝を入れ、右後のやや小さい枝を入れ、斜の左右に枝の張った花型である。またその中に、上方へ出る枝、下方へ垂れる枝の変化を作つてある。渋い一文字菊の緑の葉がたっぷりとあるので、みかんの葉をとり去つて引き立つ様に考え、枝の線の面白さを見ようとした。この配合は新年の花、一月初めの花として、季節感のある瓶花である。実が重いので花器が倒れない様に、左右に枝を入れ重さのバランスを考えて入れる。ター程のその通路が全部、温室になつていて、通路の両側の棚と天井には、洋種の花や観葉植物がてはい。私にとつては何より焙しい宿であった。栽培の植物も中々高級のものが揃つており、手入もよく行き屈いた湿室であった。アメリカの「ハウスガーデン」という雑誌がある。室内装飾と庭園との写真雑誌なのだが、その中のアメリカ流のいけばなも面白いが、庭園の作り方や、湿室を家庭の生活に調和させ、応用した室内装飾など美しく楽しいものが多い。方々へ旅行すると、ところどころで泊ったホテルの香り、特長や欠点がよくわかつて中々面白いものである。どこの廊下を歩いても水彩画のかかつている賢島観光ホテル、静かな古典的ムードの横浜のニンド。スイス風建築の上高地帝国ホテルは丸太の山小屋式のしやれた味わいがある°屋根具のスチューデントルーム(学生部屋)などことに探い味わいがある。これとよく似た阿蘇観光ホテル、これは焼けたがオランダ風の柔らか味のある山のホテルであった。さて、こんなに考えて見ると、観光都市の京都のホテルは、旅人に夢を抱かせる様な、なにか美しい特長があるのだろうかと。ときどき、考えさせられる。(専)ューグラ7 3.4. カユウミカン‘ー文字菊(瓶花)ー文字菊(瓶花)

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