テキスト1965
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〗ェ真の花器は土色の丸い形の花瓶ノl若松、バラの瓶花である。新年のいけばなとして適切な配合といえる。老松にバラも豪華な惑じで、儀式的な惑がしてよいものだが、若松にバラは明る<新鮮な惑じがする。ぉ松の緑の葉の美しいものを選んで、バラのしつかりとした花をつける。バラは湿宅咲のものだが、特に良質のものを選ばないと、この瓶花は作りにくい。バラの薬の少いときは、俗に地バラと云つて露地のツボミと紅築の業のある枝を活えて活けるとたっぷりとして活け易い。しかしこれは少し渋味を添えることとなるので和室にはよいが洋間には温室のバラの菓を選んで活けるのが明るい色があって好ましい。で手つぎのものだが、少し後方へ手をまわして活けてある°色の派手やかな、例えば(シンシャ)(セイジ)(絵のある壺)にもよく調和する。この様な丸い形の壺には中へ剣山を入れて松を留め、バラはr字留でとめる。この花形は左勝手の留と中問の長い花型で、真、胴に松が入っている。胴の松の後方に紅色のバラが一輪入っているが、実際の作品ではこの色が奥まつてよく引き立つ。中問と留のバラを長く使って、ひろやかな惑じを作り出している。若松とパラは新年の花、お祝い化の感じが深いが、普通の瓶花として活けてもよいものである。また、このままで盛花に作るのもよい。好松の葉色の特に美しいものを選ぶ。祈様式の陶器の花器である。白色に少し緑の交った造型的にも面白い形の花器だが、こんな花器には普通の盛化とは調子を変えて、この化器によくのる様な材料と、花型を考えて活ける。互具の花材は、ゴムの策2枚、タマシダ10枚ほど、涙い赤のバラ2 3本を用いてある。このバラは花屋の残り花で花はすでに咲き過ぎて、葉は一枚もないという材料(勿論、無料進品の花です)それに庭の新しいバラの葉を添えると、この様に一週間は確実に美しく見られるという花である。ゴムの薬の濃い緑を斜に2枚重ねて、タマンダの浅みどりの葉を中央に入れて変化のある配列。左方にバラをしつかり高く強く入れて、すそもとに前後へ葉を添える。横並びの花型であるが、この花器に調和する新鮮な感覧の花が出来た。混室があってそれが通路になつてというのは中々しやれたいる。l'ものである。私の青年時代というとそれこそ悠久の古い話だが、その頃、花に関係のあるなにか珍らしいものを見たいと思つて、東京へぶらりの旅行をしたことがあった。ただひとり、市内をあてなく歩いているうちに美しい一軒の花屋を見つけた。「まないたばし花園というのがいまだに忘れられないその店の名前なのだが、広い道路に面して、その店は入口がガラス張りの混室になっており、奥行五、六メーターほどの両側に湿室棚があって、洋種の花や観葉柏物の鉢柏がかたの如く一。はい並んでおつて、そのまん中のコンクリートの通路を入って少し行くと、花屋と喫茶店があるという、中々、今日で云うムードのある店であった。その後、花屋とフルーツの店と喫茶店が一緒になっているのは、時々みかけるが、あんなしやれた店はいまだにお目にかからない。昨年の夏、箱根宮の下の富士屋ホテルに宿泊した。本館の奥の山手に別棟の洋室があって、そこへ二、三日泊りこんだのだったが、本館とその別館の間にかなり長い通路がある。横巾4メーター程、長さ50メー温室のある通路6 1.2 . 若松ばら―フ‘‘ ゴムタマ、ンダ(瓶花)(瓶花)

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