テキスト1964
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オレンヂ色のストレチア2本に紫赤色の大輪菊2本をとり合せた盛花である。濃い緑の葉の豊かに重なった中に、ストレチアの直線が2本、のびやかに立ち登つて、この盛花はなんとなくひろやかな感じの花である。ストレチアも菊も同じ様に大きく力強い材料だが、この様に五割五割の取り合せも形の面白いものである。花器は褐色陶器の探い鉢。全体がどつしりとした作品である。濃紅とオレンヂと褐色と濃い緑の配色。A 盛ス花トレチア2作A 紅と淡黄の交ったグラジオラスに白色大輪の菊。花器は四角形の淡褐色の水盤。土器様式と云う土色の陶器。この花器も大きくどつしりとしている。安定感のある花器である。上方は軽やかに下部は重い感じの花型で、こんな花型のバランスも珍らしい。菊の花、グラジオラスの花の配列を、少し調子を変えたのだが、斜にならぶ3と2の配置が、単調な様にも感じられ、また変つている様にも見える。見れば見るほど気になる様な花である。たて三角型の形で古い花型の様にも見えるし、新しい形にも見える。B グラジオラス菊菊いけばなを見るなかきよう展B オリンビックに来日したフランス選手団一00名は、つき、午後6時より東山祇園ギオンコーナーにおいて、日本の芸能を鑑賞された。いけばなは桑原章子、岩田艇寿おふたりの花手前をお見せしたが、婦人選手も多数まじつており、興味深く熱心に見学した。フランス水泳のスター、キャロンさんの顔も見え歌の合唱も中々賑やかに、運動選手らしい明朗な風景が見られた。綜合美術「なかきょう展」は11月12日13日、京都市中京区役所朱雀支所で開催された。同展は京都中京区に住む日本画、洋画、彫刻、染、漆芸、書道、華道、短歌、俳句、川柳、冠句、デザイン、写真の十三部門、六十余人の文化人の作品を一堂に集め伝統と新時代に生きる「中京文化」を市民に味わってもらおうと今春来計画されたもので、同区にとつては初の試み。出品者の中には、日展審査の上村松箋(日本画)今井憲一(洋画)森田緑山(書道)氏をはじめ、桑原専渓、池坊専水(華道)岡本庄三(彫刻)中川修造(デザイン)の各氏が名を連わている。めずらしい企画のこの美術展は多数の入場者があり、両日とも盛会であった。フランス選手団9月20日京都に「さくらさくら」の近頃、いけばな展が段々と派手になって百貨店などで催されるものの中には、いけばなショウとでもいいたい様な花展がふえて来た。事実、主催者の方も、いけばな展ではなくてこれはフラワー、ショウなんだと意識した様な花展をときどき見ることがある。いけばなの心のふるさととでも云うか、そんな花展を見たいと思っていたとき、思いがけなくも私達の流の岡田慶春さんと社中の人達が香り高い花の会を催された。いけばなの風雅を楽しむ会とも云えるこの催しは、11月3日京都五条坂金光院において岡田社中の人達四十五名がそれぞれ一瓶`‘つつ。花器は京都陶芸クラプの人達の賛助出品に依つて、陶芸といけばなの調和を考えて、まことに趣味の深い催しであった。清水六兵衛氏、井上治男氏、新開寛山氏、森野嘉光氏など日展審査員の諸先生の作品に加えて、陶芸家クラプの会員諸氏の作品すべて四十五点に、それに調和する美しい花、趣味の花を活けて、高度のいけばな展がひらかれたが、この様に風雅であり、新鮮な味わいのある花展は近頃めずらしい。岡田慶春氏の指導によいけばな展の風雅5

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