テキスト1964
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日蝕写真のネガかしらーーと思われるかも知れませんが、これはたベものです。青森県陸奥市田名部町と云うところは、あの巫女寄(みこよせ)で名高い下北半島の恐山(おそれやま)のふもとにある町です。この町のおみやげ品がこの「菊の花つ子」です。黄色の菊の花びらを、ばらばらにほぐして、薄く平らに押しのばして、厚さ2ミリ程度の柔かい手ざわりのもの、色は黄菊の花の色だが、なんとなく落ちついた色。「お吸もの」の中に入れたり「お酢のもの」の材料に殊に風雅な深い味わいがあります。青海苔の様なざらざらとした感じ陸奥のたべもの「菊の花ッ子」だが、柔らかな手ざわりのもので、まるい一枚の大きさは直径30センチ程度です。たべるよりも、装飾にしたい様な面白さと、深い味わいを感じます。この写真を見ると、きものの図案にもよさそうな、素朴な形ではありませんか。これは先日、「くるみ座」の毛利菊枝さんが、わざわざおみやげに届けて下さったのですが、毛利先生はこの秋の芸術祭作品のために、恐山へ撮影のために出張されたのでした。近いうちにテレビで拝見したいものです。この珍らしい「菊の花つ子」を、テーブルセンターに使って、お花を飾りたいものと思っています。小説(飢餓海峡)の舞台、下北半島からはるばる京都へやつて来たこの、「菊の花つ子」を、私はしみじみながめております。(専)みかん箱、りんご箱、乾物箱に小さい菓子箱、火鉢の廃物、水鉢のこわれたもの、植木鉢大小とりまぜ、あらゆる容器を使って、街頭へ並べた家庭植物園です。京都市上京区石薬師通りのある風景ですが、五六年前から見かけた東側のAさんのお宅の花造りが、やがて、西側のBさんのお宅に伝染してこれも立派に花壇が出来てぎたところ、更にBさんの北隣りのお宅、さんへうつろうとしている情景です。来年には、このCさんの表にも美しい花壇が出来ることでしよう。私は人知れず期待をかけてこの街を通ります。「花てはい運動」が町内中にひろがる様に。前に立つてながめて見ると、随分いろいろの花がある。ベコニア、百合、、ガーベラ、イチハッ、コリウス、タデ、ジニア、ゼラニュームクジャク草、。ヘチニア、太陽草、ケイトウ、菊、サルビア、サボテン、バラ、グロキシニア、ツ、ジ、ナンテン、ナデシコ、ツワプキ、金魚草ハゲイト、その他こまごまと幾十種とあるらしい様子°季節が変ればまた別の花が咲くと云った調子です。とにかく、美しく、楽しく、ほつとする町の風景です。街頭植物園花の焦点2 白C

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