テキスト1964
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9, カユウの花、シオン(紫苑)の葉渋い朱色のサンギクを野菜籠に盛り合せた。この籠はお台所用品だが、落しに。フラスチックの器を使って剣山を入れ、盛花を活けた。かゆうの花に紫苑の葉は案外、よく調和する。朱色のさん菊の色が美しい。落着きのある秋の盛花である。花器を少し斜に使って、また少し前へ傾けて活けてあるが、こんな籠の応用花器は意匠的に考えて、飾りつけるのがよい。6 G山菊)の三種アサの実(麻)キク(大輪菊)の二種瓶花である。花器はガラス器に絵模様のある八角型花瓶で、外国製品。こんな傾向の配合は珍らしい配合ではない。普通に活ける配合なのだが、花器が厚手のガラス器と云うところに特別の味わいがある。ガラス器の図案は金色紫色の古典的な様式だが重厚な味わいがある。この花を陶器の壺に入れた場合を考えて見ると、全然、違った惑覚であることがわかるだろう。花器のもつ力である。7 7 6 器との配合美、いずれも同じである。その人の趣味に依つて選択し。それの調和美をつくることにおいて、全く同じ。智的な美しさを美しとして選択する人、俗悪なものをよしとする人。それに気づかない人°私は私、人は人と自我で押し通そうとする人、これは一見、個性がはつぎりしてる様に見えるが、それは筋の通らない個性と云える。ほんとうのいいものを知り、それをよしとするしつかりとした思慮、そこから、真実の美しさを生み出すことになる。花器は値段の高いものが決してよいのではない。安いものがつまらないとは云えない。自分の身体によく調和するきものを選ぶ様に、自分のいけばなによく調和する花器を賢明に考えて選ぶ。美術品クラスの花器に活けることも、ある場合、必要だが、自分に調和しない立派な衣裳を着るのと同じ様だったら、あまり楽しいものではない。花器はいけばなの衣裳である。どうにも自分にうつらないきものを、無理に着るのは嫌に違いない。いつ活けてもすつきりしない花器は、早速やめにすることである。この頃の材料贅に比較して、花器はそんなに高いものではない。5 : ~""l雫鴫', と,.ヽ・....、.....................ヽ....ヽ•ヽ.....、....................ヽ・,.....,.,.,., .................. ●ヽ•ヽヽヽ•ヽ•ヽ.-................ 鴨・・・・・・・・・・・・・・・・疇・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・................................................ : ..' ~ C巻頭1ページの写真):瓶花i 椿の実白菊モ‘ノステラ: : i りの壺である。i つばきの実附の枝振りの変化のあるものを3本t ~ : 用いてある。左右に1本づつと,後方に深く1本: ; 入つている。モンステラ(電信蘭)の葉を2枚,; ; 中央前方へ重ねて挿し,中央に白大輪菊を3本入: れたoこの花型は左右均斉の(対照型)であつて,; ; 広間の会場や洋室に調和する花型である。; 左右べ枝が出ているので,中央は低く作り,安>定のある花型としたo椿の実や,菊の落ちついた; 惑じの中にモンステラを入れて,明るい感じを加: 1 えたのだが,特に注意することは,左右対照の花: : 型と云つても,左右が同じ長さや枝振り,同じ形: : でない様に,変化のある形のあることが,必要なi i のである。! この写真では見えないが,中央の後方に椿のし; つかりした枝が1本入つている,全体の奥行を作: ; るためであつて,前方はモンステラが強く出て,; ; 花の(浮き)を作つている。: 花器は青褐色の高さ35センチ程度のかなり大振i カユウシオンの葉サンギク` アサの実大輪菊: : : ・'“――

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