テキスト1964
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—フ多くの植物の中には、松、杉、椿の様な常緑樹は、夏の酷暑の頃も、寒冷の冬の季節も、殆ど変りはない。しかし、少し葉の柔いかん木類になると、真夏のきびしい暑熱の時間には葉もだらりとしおれ、夕刻になると、ようやく姿を戻して葉もしゃんと立ちなおる。冬の厳寒の頃には木の葉までこおりついて、しおれた様な姿となっている。これは、その植物の耐寒性。耐暑性が、高すぎる温度や低くすぎる温度にたえ切れないためにおこる現象である。切り花の場合もこれと同じでありその花が自然に咲く場所と、その花を活けた室内温度が同じ程度であることが、理想的であるが、殊に、土にある場合と切り花とした場合とその花自体の吸水条件も変つて来る関係もあって、真夏の頃や、真冬の頃は水揚に大変むづかしい状態となる訳である。殊に、この頃は、冬の暖房装置、夏の冷房装置が多く使用される様になって来ると、植物の望む自然の環境から、段々と離れることとなり、水揚にも大変な影響をもつこととなる°冬の温室ではそれを特別に注意して、その植物の希望する湿度に調節して美しい花を咲かせることが専袈出来、また、ま夏には冷涼の土地で(例えば長野県地方)低温度の特別栽培をやると云う様な、人工的な栽培をやつて、酷暑の季節にも美しい花を咲かせている。さて、その花が私達の手にうつつて、室内のいけばなに使われるとき、それほど深い注意を払つているだろうか、電気扇、暖房、冷房、などはいけばなの水揚には大変、関係が深いので特に注意せねばならない。切り花は、自然の状態、温度が一ばん好ましいのだが、強い暖房の部屋に花を活け、深夜になって暖房が止まると云った場合、また反対に、夏の冷房が夜は止まると云った場合この様な温度の急激な変化は、花に大変悪い影響を与える。ま夏には花器の中に氷片を入れたら、さぞ花のためによかろうとも考えられるが、これもよくない。花器の中の水の混度が急に冷えたり、暖かくなったりすることが悪い。風も自然の風はよいが、電気扇の風は切り花に悪い影響を与える。この様に考えて見ると、いけばなのためには、人工的な冷暖房や、電気扇の風はよくないと云える。花器に入れる水は井戸水(汲みあげポンプの水)が、花のためによいと云われておるが、これも自然に近い水質が切り花のためによい訳であろう。洋花、日本の花と大ざつばにわけているが、それを原産地まで考えて、,\・ー、2 見ると、中々おもしろい。主として熱帯の植物の花葉は、形も色も珍奇美麗なものが多く、温帯地方のものは静かな色と温和な形のものが多い。少し例を挙げて見よう。日本原産の花と、今日、日本で沢山栽培されている花で、実際は外国原産の花。また、日本や中国原産の花は主としてどんな性質のものが多いかを考えて見ることも必要であろう。土地とその温度に依つて咲く花の品種、形、色調などを考えて見るためにも参考になると思う。以下は多くの花の中から選び出したもの。日本と中国原産の花(例)くちなし中国すいせんてつせんクこぶしあさがおクしらん金もくせい女郎花おうばいかんぞうてつせんはま// // // // // ゆうアザレアあけ// びいちはつあ// ざみこでまりクさざんかせきちくがまふよみぞはぎえぞぎくにわうめかきつばたつばきクルクマ(アフリカ)アスクレピアス(ク)アンスリーム)ク秋海棠(マレー半島)水引草ひおおぎクンシラン(ク)しやくやくうのはなフリヂヤ(南アフリカ)アカバンサス(ク)けいとう(インド)カラジューム(ク)まつよいぐさ(ク(はす(熱帯アジア)こうほねくずはげいと(ク)ルピナス(ク)日本と中国両地原産のもの(例)熱帯地方原産の花(例)ガーベラマリーゴールドチュウベローズ日本コ・スモスアマリリスカルセオラリアカトヘリオトロープサイネリヤ(カナリー島)(メキシコ))()((((ク)_リ(((((クク))((クク)))ク)ク)ク)ク)(南米)グラジオラス(ク)金魚草その他さくら(各国)沈丁花さんしう(ク)ひなげし(クひまわり(北米メキシコ)スイートサルタン(中央アメリカ)欧洲、北米原産の花(例)カスミソウェニシダバンジーさんざし(欧洲北米)サルビアストックヒアシンスアネモネカーネーションキスイセンふじばかまべんけいそういろまつよい(例)すいれんスタージス(中国南部)(本邦(西アジア)(日本シベリア)ガンビセンノウ(東アジア)マーガレット(クぐびじんそう(欧洲)(ク)(ク)(ク)(ク)(ク)(ク)(南欧)(北米)・台湾)ク)ク)ク)花の手帖エリカ(ク)ヵュウ(ク)百日草(ク)日々草(ク)竜舌蘭(ク)ミモザ(ク)レア(ク)けしまぎ(ク)(ク)うめあせび// 海棠大山蓮きくおもとばいも雪柳仏手まさき木ふうらん 花菖蒲蓮柑う黄さ梅る梅すもべどりきき// // // // 'l'l // きようククク⑧ // // // // // 'l'l'l'l'l'l'l ,"' ・まら// // //

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