テキスト1964
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せんのうは渋い赤色、紫桔梗、ンステラの広い緑の葉。全然、別の趣味の様に見える材料だが、合せてみると案外、よく調和する。左方へのびたせんのうの花1本は特に長く挿してあり、この長さでモンステラの葉の重たさとバランスをとつて、る。水平に挿したせんのうの一茎の形が、この瓶花の生命と云える。色彩的にも面白い配合である。これはまた、まつすぐな立体の花型である。つるむらさぎは竹にからみついたまま、その個性を活かして直上的な形に活けると、さつばりとした形が作れる。女郎花、花菖蒲などの類は、こんな花型がよい。前方へは少し傾いているが、留の白桔梗を、胴副の部に入れ、留も中間も控にも、花を入れておらない。こんな花型もまた、別の趣きがある。2 キこー。私の手もとに花の記録のノートが2冊ある。これは余程以前に、私がひまをみつけて、山から谷、野原や川を歩き廻つて、その土地その土地に咲く四季の野生の花(いけばなに使えるもの)を記録して、花の咲く時期、品種、その場所の状態、それを活けた状態、などをかなり詳しく記述してある。数年に亘る山野行であったので、かなり品種も多くあり、時々ながめては、今頃はあの山の泉のくさむらには、沢ききようの紫の花が透きとぉった水にゆれているだろうーなどと考える次第である。私ひとりで行くことにきめておったのだが、淋しくもなく山の花が私の友達であっ(ある幸の記)などと云うと、なんだか文学的だが、実際はーの記)である。歩け歩けの記録と云う意で。それは2冊になって一寸した本の格好になっている。写生の様なものも少し入っている。そこで思うのだが、誰でもある一つの時期をみつけて、自分の行える範囲の、なにか研究的なことを、かなりつっ込んで行ることは、いいことに違いない。中途半端でなく、ある程度の真実を掴むまで押して、未知の世界を知り、それを自分の知識の系列の中に加える||そんな考え方も必要なことと思うのである。ある幸の記(アルコ北海道すずらん佐賀ずなぎちうああもぅ< 和歌山みかん秋田ふき宮崎はまゆう奈良熊本りんどう広島もみじ宮城みやぎのはぎ福岡め都道府県を象徴する花は、すでに昭和29年3月22日、NHK開局二十九周年記念特別番組の中で放送され公表されたのですが、花道の私達には大変、参考になることと思いますから、ここに記しておきます(瀕川弥太郎氏著書より)埼玉さくらそう千葉なのはな愛知かきつばた兵庫のぢぎく滋賀しやくなげ島根ぽた岐阜れんげそう山形べにばな山梨ふじさくら青森りんご愛媛ひめあやめ石大分ぶんごうめ福井すいせん山口なつみかん三重はまゆう香川オリープ高知やまもも東京そめいよしの長野そば福島しやくなげ岡栃木しもつけそう大阪群馬れんげつつじ徳島京都しだれざくら茨木新潟チューリップ静岡富山チューリップ岩手雲仙つつじ鳥取長崎鹿児島みやまきりしま神奈川やまゆりくろゆり八重桜12 郷土の花{ c 瓶花2作水揚のよい盛夏の花しりやめいしも山川んモせんのう・ききよう・モンステラつるむらさき・ききよう

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