テキスト1964
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七月の中旬から、花の種類が少くなる。八月に入ると季節の花も乏しく、かのこ百合、りんどう高砂百合、女郎花、るめけいとう弁曖草ぎぽうし菊の頬天の川、せんのう朝顔ひる顔グラジオラス沢桔梗などが見られるが、これに山の木もの実ものなどをあしらって、つとめて淡白な花を活ける。とにかく暑い折柄であるから、日持のよいもの、あっさりとした惑じの花を選ぶこととする。すすき、かるかやの類は小時間しかもたないから、紫蘭の葉やカンスランの様な、すがすがしい惑じの、盛夏しかも日持のよいものを特に選択して活けることである。また、グラジオラスの様な丈夫なものを一河原撫子<種挿にするのも、案外、さっばりとして好ましい。花器の中で咲く様にするのも一っの工夫である。夕刻に明朝咲くつぽみを見定めて切りとり、足もとを塩でもみ夜のうちに活ける。朝になると葉の形もその場所によく調和して、よい形になり、美しい花が咲く。な化を選び、時間をかけないで活けることが大切。(専渓画)朝顔を庭の隅に作って、毎朝、おけい古の花は、なるべく単純こうぽね(河骨)↑五月より八月中、水辺に咲く。今は殆ど活けることが少くなったが、昔は中々よくはやった花である。生花の形を作るのに葉の形が手頃で、少し渋いが、中々味わいの深い花である。早朝か夕刻に切りとり、茎の中に薬液を注ぎ込んで水揚をし、更に針金を葉軸の中にさし込み、倒れない様にして活ける。蓮は半日の命河骨は三日間はもつ。すすきの類、はけいと、朝顔、むくげ、蓮、こうぽねなど、水揚のよくないものは、花屋の材料では到底、駄目である°庭でも池でもその場所へ自分が行き、切りとってすぐ水揚をする熱意がないと、こんな花は活けられるものではない。活ける人にはそこに又、楽しさも伴うものである。真の華道に行きっく人は、必ず研究せねばならない境地である。この図は河骨一種の盛花である。← 籠に入れた秋草の投入花。この三種は秋草の趣味を代表した花と云える。庭に咲いた秋海棠と水引草、それに女郎花を一―-、四本添えて活けた籠の花は野趣のある材料、軽やかな感じのもの、風雅な趣味、この様な感じの花がよい。従って秋草の類は殊に調和がよく適切である。籠も最近には洋趣味の金属製のもの、。フラスチック製の、もの、塗料を施したもの、いろいろ新しいものがあるが、いずれにしても花は軽やかな材料がよい。殊に日本趣味の籠は、分量も少<活け、清楚な感じに活ける。この画の籠はかなり大振りの籠で、比較的たっぷりと花を入れた。女郎花秋海単水引草夏のお稽古は6 夏のおけい古は、なるべく早く活けることが大切です。花のうるおいの落ちないうちに、手早く形よく活けるのが、一ばん上手なやり方です。さっと活け上げて、しかもよいお花。これはかなり練達した人でないと難かしいが、最初からよく考えて、度々やりなおしをしない様に活けることです。習っている間は、自分の作品がどの程度によいのか、悪いのか中々解りにくいものだが、大体の槻準は、先生に花をなおして貰うときに注意するとわかるものです。花器からすっかり抜いてやりなおされたら、先ずあまりよくないとさ。一部分をなおして貰ってこれでよろしいーーーーと云うのは、かなりよいお花の出来たとき。先生が幾度も見なおして、そのままでなおす必要がないと云われたとぎは、最も成紐のよいとき。余程よい作品が出来たときです。さて、こんなよいお花(自分で作てっのまま。ハスしたとき)が、お稽古日ごとに三回連続した場合、もはやその人は充分の技巧が出来上っている、と考えて誤りはありません。ここまで来るのに普通で四五年はかかるものです。おけい古は純真にまっすぐに進むべきものです。急いではいけませんし、静かに確実に稼み上げて行くのがよい訳です。お稽古を休まない様にいつも熱意をもってお花を見つめることです。楽しくお稽古をしないと上達しません。の花)凡必?弁4水揚をする・みようばんに草の汁を交え水揚ポンプで・葉に液汁が行きわたる様にさし込む

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