テキスト1964
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l> すいせんの花2本である。これは初期の活け方(+-月、十二月)で花も低く入れてあり、袴(白いかぶ)も低く使ってある。生花は自然の姿を写す意味で、季節感を作品の中にあらわすことが大切とされている。ただ、表面の花形の上手だけでなく、初期盛期残花の感じを作品の上に表現することが大切とされている。葉組は4枚と3枚に組み、技巧の過ぎない様に、格調の高い花型を作る。写真の花は、古丹波の陶器の壺に落しの筒を入れ、それへくばり木をかけ活けてある。当流の生花は自然を失わない中に、まろやかに、気品のある花型を認ぶ。はらん、水仙、いちはつ、かきつばた、花菖蒲、ぎぽうし、しおんの七つを、葉組七種と云って葉組もの生花の代表的な作品となっている。水仙は花数少く、清楚な感じがよ(5株)の生花すいせんばらん葉蘭十一枚の生花で、流儀の代表的な花型である。生花は簡浄清楚な感じ、もち味が特長である。単色の緑の葉のばらんは、外面的な色彩の美しさは殆どない。単調な感じである。およそ、花と云う言葉を常識的に考えて見ると、唯れしも外面の美しい、例えば菊、桜、百合、カーネーションの様に美しい花そのものに、花の美しさを感じるものである。ところが、この葉蘭の生花も、美しいいけばなと思われるに違いない。それはどこにあるのか。それは形である。均斉のとれた合理的な技巧の美しさ°清潔であり清浄な感じをもっ、日本の伝統いけばなの美を代表する作品、単純な竹の筒の花器とその心を調和させて、独立した花の芸術を作り上げようとする。これは外国のいけばなに見られない境地である。紙に描いた水晶画の境地と云える。R⑮

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