テキスト1964
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ダリアは六月より十一月まで咲きつづける花季の永い花である。盛夏の八月を境として、それまでを夏咲品種、九月頃から晩秋まで咲く花を秋咲きと云われる。夏咲きの花が終わると、花茎をかりとって、新秋に新しい花を咲かせる。品種の多いものであるが、いけばなには茎のしっかりした種類が日持ちもよく、活け易い。ここ.てはダリアの盛花を三種類(巻頭1ページの写真ともに)作って例題とする。ダリアの盛花初夏より秋〈かけて、いつても活けられる配合てある。少しうす色のかかった白花の大輪咲ダリアニ本と、淡紅のガーベラの花を七本とり合せて、花型は平た<横に花材を並べた、こんな形を並列花型(〈いれつかけい)と云う。花器は褐色陶器の長方型盛花器てある。靱山を二つ横に並べて置き、ガーベラの足もとは、わざとすかせる様に考えて、ゆるやげかに左右にひろた。ダリアの葉を全部、前向きに立てて、ガーベラの茎をダリアの花に重なる様に考え、またガーベラの花は上方で同じ高さに、横ならびに整列させた。ダリアの花の重い感じと、ガーベラの軽快な線が対照的てある。ーー2 直径五0センチほどのたっぷりとしたガラス器。透明の中に白と淡黄の色が交っている。ダリアは淡紫の花に斑入の大輪咲二本と白と紅を染めわけた様な花一本。どっしりとした花器に、直径一五センチほどのダリアの盛花は、殊に重量感がある。単純な盛花だが、実に豪華な美しさに満ちている「夜会服を着た女性」そんな感じの花である。基本型から離れて花の引き立つ様に花を配置する。うす紫の大輪花の前に、紅の花の茎の美しい柔い線を立てて、この用い方によって、全体をのびやかな形に描き出している。葉は裏を見せない様に挿して、黒々とした濃い緑の葉を豊かに用いてある。1ページのダリアの小品花。花器はベークライト製の淡緑色(せいじ色)のボンボソ入れを花器に使ってある。ダリアの花は紅と白の大輪咲ダリアで、葉もしっかりとして、のびやかな感じがある。細山を入れて簡単に挿して留めてあるのだが、こんな花は活けると云う考え方よりも、花器に安定し、よく調和すると云うところに重点がある。とにかく、目もさめる様な美しい花である。新鮮な美しい材料を見つけたとき、それを、更に清浄な境地に屁華させるー。それがいけばなの理想デある。巻頭の小品花2

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